赤字に苦しんできたダイエーに“復活”の兆し 流通帝国の崩壊から黒字化までの道のりをたどる:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
再建途上のダイエーが黒字化しそうになっている。一大流通帝国を築いた道のりを振り返る。なぜ、今になって復活の光が見えてきたのか。
米国を研究し数多くの業態を開発
全盛期のダイエーは、ディスカウントストアの「ビッグ・エー」を設立し、食品スーパー「マルエツ」を買収。ビーグ・エーとマルエツは、今は分離されイオン傘下となっている。現在は全店閉店したが大型ディスカウントストアの「トポス」や、コストコをベンチマークした会員制スーパーの「コウズ」なども展開。米国の流通をよく研究し、数多くの業態を開発した。
また、コンビニの「ローソン」、持ち帰り弁当の「ほっかほっか亭」といった中食のリーダー格となる企業を創業。ネットワークビジネス、アムウェイの日本版「エックスワン」もダイエーが生み出した企業だ。
多くの外食企業を創業したことでも知られ、東証一部に上場した英国風パブの「ハブ」をはじめ、ハンバーガーの「ドムドムハンバーガー」と「ウェンディーズ」、ハンバーグ主力のファミレス「ビッグボーイ」、ステーキハウス「フォルクス」、消滅したが牛丼「神戸らんぷ亭」などを、自力または米国企業と提携して立ち上げた。
神戸の流通科学大学は、流通業の未来を担う人材育成のため中内氏が設立した大学だ。
リクルート事件で話題になったリクルートは一時期、ダイエーの傘下だった。現在は福岡ソフトバンクホークスとなっている球団を、南海電鉄から買収して保有していた。老舗ホテルの「オリエンタルホテル」や、パチンコチェーンの「パンドラ」、ハワイを代表する「アラモアナ・ショッピングセンター」も買収して傘下としていた。
今はもう存在しないものでは、百貨店の「プランタン」をフランスの老舗プランタンと提携して設立。ミシンメーカーの「リッカー」、遊園地の「小山ゆうえんち」、「奈良ドリームランド」を傘下に収めていたこともある。
中内氏は日本チェーンストア協会初代会長、日本経団連副会長といった経済界の要職も歴任。流通業の地位向上にも貢献した。
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