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赤字に苦しんできたダイエーに“復活”の兆し 流通帝国の崩壊から黒字化までの道のりをたどる:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
再建途上のダイエーが黒字化しそうになっている。一大流通帝国を築いた道のりを振り返る。なぜ、今になって復活の光が見えてきたのか。
ダイエーはなぜつまずいたのか
ダイエーはなぜ失敗したのか。不動産を購入して店舗を出店し、その値上がりを担保に金融機関から融資を受けて出店を重ねた。土地神話に根差したビジネスモデルだったため、90年代のバブル崩壊で大打撃を受けた。最大で2兆6000億円という多額の有利子負債を負ってしまった。
しかも、一代で大流通グループを構築したものの、事業承継に成功したとは言えない。
不運なことに、95年には神戸にあった本社が阪神・淡路大震災で被災。三宮の旗艦店も全壊して閉店を余儀なくされた。ダイエー系列店は阪神エリアに集中しており、その大半の店舗が被災した。被害総額は500億円と発表された。
中内氏は東京の自宅で震災を知ったが、倒壊の危険がない兵庫県にあった49店のうち24店を震災当日からオープン。翌日には、阪神高速道路と神戸港が被災して使えないので、神戸の西の加古川市にある東播磨港に船で商品を運び、神戸へと送った。物資不足で価格を吊り上げる動きを阻止。物価の安定に寄与した。
これは、流通は社会インフラと考える中内氏の哲学に基づく行動。ダイエーは東日本大震災の時にも仙台店(現・イオン仙台店)をわずか2日後に営業再開した。店舗前には3500人の大行列ができたという。
一方で、店舗の再開に手間取り、売り場の改善までにはなかなか手が回らなかった。ついには2004年に産業再生法の適用により、産業再生機構などから1100億円超の出資を受けた。丸紅が再建に取り組み、07年からはイオンの助力を受けた。
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