エバラ「黄金の味」に32年ぶりの新味 甘口・中辛・辛口に「さわやか檸檬」が加わるワケ:定番商品の“強み”を生かす
エバラ食品工業は2月7日、焼き肉のたれ「黄金の味」シリーズの新商品「さわやか檸檬」を発売する。同シリーズに新しい味を投入するのは32年ぶり。
焼き肉のたれの定番商品に、さっぱりとしたレモンのラインアップが加わる。エバラ食品工業は1月15日、ロングセラーの「黄金の味」シリーズの新商品「さわやか檸檬(レモン)」を2月7日に発売すると発表した。「甘口」「中辛」「辛口」の3種類で展開する同シリーズに、新しい味を投入するのは32年ぶり。黄金の味の最大の強みである“フルーツの味わい”を生かす商品になるという。
黄金の味シリーズの発売は1978年。当初から、甘口・中辛・辛口の3種類で展開していた。その後、82年に「みそ風味」、88年に「しょうゆ味」「カルビ焼」という新商品を発売したが、短期間で終売に。定番の3種類がロングセラーとなり、現在は年間約4000万本を出荷している。
長らく発売してこなかった“新テイスト”を開発したきっかけは、2017年7月に実施した初めての大幅リニューアルだった。リニューアルの際に「あらためて黄金の味の強みについて、お客さまなどに幅広く調査した。その結果、『フルーツベースのたれ』という大きな価値を再認識した」(広報担当者)という。
黄金の味は、リンゴ、モモ、ウメをブレンドしたコクのある味わいが最大の特徴。リニューアルでは、原料の約3分の1を占めるリンゴピューレの製法を見直し、果実由来の自然なとろみをより感じられる味わいに仕上げた。その経験が、フルーツの甘みやさわやかさを生かす新テイストの開発につながったという。
また、焼き肉に「さっぱりとした味わい」を求めるユーザーの声も増えていた。「家庭で食べる焼き肉は多様化している。豚肉、牛タンなど、さっぱりとした味のニーズもある」(同)
ニンニク不使用、果実のコクを感じる味に
そういった経緯から誕生した「さわやか檸檬」は、リンゴ、モモ、ウメに加えて、レモン果汁、レモンピール、レモンエキスの3種類のレモン原料を使用し、さわやかな味わいに仕上げている。一方、従来製品よりもリンゴを多く使用することで、レモンの酸味はほどよく抑え、果実のコクとやさしい甘みを感じられる味になっているという。
ニンニクは不使用だが、青唐辛子やカルダモンなどのスパイス、ハーブをアクセントに使用し、満足感のある味わいを目指した。
小売参考価格は税込465円。発売後は、店頭やSNSなどを通じて、おすすめの食べ方やアレンジレシピを発信していく。焼き肉のつけだれとして使うほか、長崎県佐世保市の名物「レモンステーキ」などの料理に活用する提案も強化するという。
32年ぶりの“新味”は、トレンドや味覚の変化だけでなく、ロングセラー商品が持つ本来の価値を見直した結果として生まれたようだ。新商品の投入によって、その価値のさらなる向上を目指す。
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