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マクドナルドとモスバーガー 「トマト」の使い方から見えた戦略の“決定的”な違いとは:飲食店を科学する(3/5 ページ)
ハンバーガー業界の2トップ「マクドナルド」と「モスバーガー」。原価率や広告宣伝費から戦略の違いが見えてきた。マクドナルドの圧倒的強さの秘密にも迫る。
実際に分解してみた結果は?
さらに両社の商品戦略を細かく分析するため、実際にマクドナルドのガーリックペッパーとモスバーガーの「モス野菜バーガー」を購入して分解してみました。
価格はガーリックペッパーが390円、モス野菜バーガーは360円です(いずれも税込のテークアウト価格)。
商品の満腹感において重要な指標であるハンバーガーの総重量はガーリックペッパーが162グラム、モス野菜バーガーは168グラムで大差ありません。しかし、トマトの重さに関してはガーリックペッパーが17グラムなのに対してモス野菜バーガーは32グラムと大きく違います。さらに、トマトとレタスを合計した野菜の総重量はガーリックペッパーが30グラムなのに対して、モス野菜バーガーは52グラムと約1.7倍です。肉のパテの重量は両社とも53〜55グラムとほとんど大差ありません。ガーリックペッパーは野菜の重量で負けている分、バンズの重量をモス野菜バーガーより10グラム程度多くしています。
このことからも、いかにモスバーガーが野菜にこだわっているのかが伝わってきます。そのこだわりは、重量のみならず野菜の産地にも表れています。
ガーリックペッパーのトマトやレタスは日本、韓国、アメリカ、メキシコ、ニュージーランド、カナダなど世界各国から仕入れています。一方、モス野菜バーガーのトマト、レタス、玉ねぎは国産です。
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