「一人○○」が超“おいしい”マーケットに 「働く40代女性」を狙うべきこれだけの理由:食の流行をたどる(3/5 ページ)
飲食や旅行といったシーンで「一人○○」が増えている。筆者は特に40代の働く女性を狙うべきだと主張する。その理由とは?
「一人○○」が増えた4つの背景
「一人○○」が増えた要因は4つあると考える。今回は、飲食シーンで特に女性が増えているので、そこにフォーカスして解説したい。
まず1つ目に、女性の社会進出が挙げられる。先に解説した通り、女性の一人外食マーケットの成長が著しく、その中でも特に飲酒シーンが伸びている。これは、女性の社会進出により晩婚化などが進み、ライフスタイルに変化が起きたことが大きな要因と考えられる。仕事帰りに飲酒を兼ねた食事をするスタイルが定着しつつあるのだ。
特に女性は、年齢を重ねれば重ねるほど、同世代の友人とのライフスタイルに大きな差が出てくる。20代のときには、収入やライフスタイルに大きな変化が起きにくいので、気軽に食事に誘えたかもしれない。しかし、結婚や出産を経験すると、気軽に外出しにくくなる。そのため、シングルの女性が「一人○○」を楽しむようになったのではないだろうか?
2つ目の要因は、ストレス社会だと考える。忙しい現代社会において、日中は会社での人間関係や仕事の軋轢(あつれき)に疲れてしまうことが多い。そのため、平日の夜や休日などのプライベートタイムには大人数でいることを好まず、本当に気の合う人としか一緒に過ごしたくないと考えている人が増えているのではないか。その結果、仕事帰りに突発的に食事に誘うといったシーンは減り、「食事くらいゆっくり一人で楽しみたい」といった心理になるのだろう。一人外食に不安がないともいえる。
3つ目の要因は、スマートフォンの普及だ。スマホがあれば、一人で食事をしていても手持ち無沙汰にならない。食事をしたり、カウンターでお酒を飲んだりしながらスマホを触っているシーンをよく見かけるようになった。“早い、うまい”を売りにしている某牛丼チェーンの経営陣は「提供スピードが多少遅れても、消費者の満足値は下がらない時代になった」と発言している。メール、SNS、ネットサーフィンだけでなく読書もできてしまうスマホの普及が、一人○○のマーケットを成長させているといっても過言ではない。
4つ目は、一人客の受け皿となる飲食店の増加である。一人でも気軽に食事を楽しめるお店のバラエティが増加している。カフェだけではなく、立ったまま1枚ずつお肉が注文できる一人焼き肉店や、カウンターで一人鍋を楽しめる居酒屋チェーン、バルも増加。通常のお店でも、カウンターのほかに一人でも気兼ねなく利用できる小テーブルを設置するケースが増えてきた。
このように、マーケットポテンシャルの高い一人○○マーケットだが、事業者にとってのメリットと、「おいしいマーケット」を獲得するためのヒントを提示したい。
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