「一人○○」が超“おいしい”マーケットに 「働く40代女性」を狙うべきこれだけの理由:食の流行をたどる(2/5 ページ)
飲食や旅行といったシーンで「一人○○」が増えている。筆者は特に40代の働く女性を狙うべきだと主張する。その理由とは?
データで読み解く「一人○○」マーケット
「一人○○」市場が成長していることを示すデータを紹介しよう。
ホットペッパーグルメ外食総研の消費者調査によると、2018年度における女性一人の年間外食回数は前年度比プラス9.1%だった。15年度比ではプラス14.2%である。
外食回数は全ての年代で伸びているが、特に40代女性の成長が顕著であり、18年度はプラス24.6%(15年度比)だった。20代女性がプラス16.7%(同)、30代女性がプラス18.7%(同)、50代女性がプラス23.4%(同)となっている。このように、20〜30代女性と比べると40代女性の伸びは著しい。
40代のマーケットには団塊ジュニアが含まれており、圧倒的なボリュームがある。また、晩婚化・未婚化の影響で独身者も多く、可処分所得が高い。そのため、飲食・旅行といったサービス産業は“アクティブ中年マーケット”に大きく期待できるのではないだろうか。
同調査によると、女性就業者の「一人外食」の回数が大きく伸びている。18年度はプラス31.1%(15年度比)だった。さらに驚くべきは、次のデータだろう。女性の一人外食を細分化してみると、「飲酒なし」の伸びがプラス29.6%(同)だったのに対して、「飲酒あり」はプラス41.8%(同)だったのだ。
女性の一人外食に利用される業態はどうなっているのか。18年度に利用された回数は、「バー、ビアホール、バル等」でプラス47.7%(15年度比)、「中華料理店」がプラス41.7%(同)、「居酒屋」がプラス26.9%(同)、「牛丼、カレー等、一品物」はプラス28.2%(同)となっている。定食屋、牛丼、ラーメンなどの「一人軽食」市場は過去から一定数あるが、今後は飲酒シーンにおける「お一人さま」市場に大いなる期待を寄せたいところだ。
旅行シーンはどうなっているのか。「じゃらん宿泊旅行調査 2019」によると、「一人旅」も09〜18年度にかけて増加している。35〜49歳の男性は16.7%から24.5%に、同世代の女性も7.4%から12.1%へとそれぞれ増えている。“ミニマル”旅行のニーズが高まっているのである。
このように、40代を中心に食事・旅のシーンが「個人化」しているのだ。では、なぜこの「一人○○」マーケットが成長しているのか? その背景を解説していきたい。
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