トヨタ、ビッグデータから“踏み間違い”を検知 2020年夏から導入:障害物がなくても
トヨタ自動車は、ペダルの踏み間違いによる異常なアクセル操作を検知し、加速を抑制する機能を開発したと発表。ビッグデータを活用し、周囲に障害物がない状況でも踏み間違いを検知する。この機能を搭載した新型車を2020年夏から発売する。
トヨタ自動車は2月3日、ペダルの踏み間違いによる異常なアクセル操作を検知し、加速を抑制する機能を開発したと発表した。ビッグデータを活用し、周囲に障害物がない状況でもアクセルとブレーキの踏み間違いを検知する。この機能を搭載した新型車を2020年夏から発売するほか、すでに販売している車種向けの後付けシステムも商品化する。
トヨタはこれまでに、車両前後のセンサーで障害物を検知して自動ブレーキをかけるシステム「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」を導入し、現在は32車種、83%の車両に搭載している。
今回新たに開発した技術では、他の車両や壁などが周りにない環境でも、踏み間違いを検知することができるという。
開発には、コネクティッドカーから得たビッグデータを活用した。まず、実際に踏み間違い事故が発生してしまったときに、アクセルペダルがどのように全開で踏まれたかという状況を分析。その特徴をビッグデータと照合し、右折時や一時停止後など、実際に急加速を必要とする状況を除くことで、異常なアクセル操作状況を特定。加速を抑制する。
今回開発した「急アクセル時加速抑制機能」を現状のICSに組み合わせることで、「駐車場等でのペダル踏み間違い事故をさらに一層減らすことができ、特に踏み間違いによる事故を心配されるお客さまに有効だと予測している」(同社)という。
高齢ドライバーなどの踏み間違いによる事故が社会問題になっており、自動車メーカーは安全機能のさらなる拡充を進めている。トヨタは、今回開発した機能の考え方について「他の自動車メーカーも含めて幅広く共有していく計画」としている。
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