海外でも議論噴出 なぜ「高齢ドライバー」の運転を止められないのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
東京・池袋で発生した高齢ドライバーによる死亡事故。ドライバーは運転能力低下を認識していたのに、なぜ運転を続けてしまったのか。私たち自身が責任を持って、高齢ドライバーへの向き合い方を考える必要がある。
4月19日、東京都豊島区の池袋で痛ましい事故が起きた。
昼過ぎに高齢の男性(87)が運転する乗用車が暴走し、通行人を次々とはねた。自転車で走行中だった31歳の女性とその3歳の娘が死亡したことが報じられて同情の声が広がったが、それから加害者が旧通産省の元官僚で、工業技術院の院長まで務めた人物であることが判明すると、ネットなどでは一部で激しい怒りが噴出した。
しかも、なかなかこの高齢ドライバーが逮捕されたというニュースがないことに憤激する人たちも出ているという。
ただはっきり言って、このドライバーが元官僚だろうがなんだろうが関係ない。それよりも重要なのは、このドライバーは足が悪かった上に、駐車場にうまく駐車できないことなどもあり、「もう運転を止める」と語っていたという話だ。しかも警察によれば、このドライバーは誤ってアクセルを踏み込んでしまい事故になったのだという。
若い親子がそんなドライバーと同じ場所に居合わせてしまったのはやるせないが、本来、このドライバーはその場所にいるべきではなかったのではないか。
海外に目をやると、実は英国で少し前に、高齢ドライバーが運転を続けるべきか否かについて議論になっていた。というのも、1月に、エリザベス女王の夫であるエディンバラ公フィリップ殿下(97)が、運転していたランドローバーで乗用車と衝突事故を起こしたからだ。フィリップ殿下は無傷だったが、相手は手首を骨折した。
高齢ドライバーは運転をすべきか否か――。海外でも話題になっている議論を踏まえながら、日本で私たちは高齢ドライバーにどう向き合っていくべきなのか考察してみたい。
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