2015年7月27日以前の記事
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『嫌われる勇気』著者、アドラー心理学の第一人者が語る組織論「部下を思い通りに動かそうとするのは間違い」『嫌われる勇気』著者の仕事術(後編)(3/4 ページ)

国内累計208万部、世界累計485万部の大ヒットを記録している『嫌われる勇気』。続編の『幸せになる勇気』との合計部数は世界で600万部を突破し、21世紀を代表するベストセラーになっている。この二部作を、仕事の悩みを解決するために読みたいと考える人は、少なくないだろう。後編では、経営者や管理職向けにアドラーの思想を正しく読み解いてもらい、部下をマネジメントする上でのヒントを提示してもらった。

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生きているのは「幸せになるため」

――『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』では、働くことについてどのようなメッセージを伝えようとしたのでしょうか。

 『嫌われる勇気』では仕事や働くことを直接テーマにはしていませんが、少し関係がある話をしています。働いている人は、働けることで自分に価値があると思い込んでいられます。ところが、やがて定年退職を迎えたときに、自分の価値がなくなったのではないかと思う人が結構多いです。でも、働けなくなったとしても、人間の価値はいささかも低くなるわけではありません。それがこの本で訴えたかったテーマの一つです。

――『幸せになる勇気』には、仕事をテーマにした項目もありますよね。

 仕事について直接取り上げたのは、何のために働いているのかを考えてもらうためでした。若い人の中には「働いていても少しも楽しくない」と話す人が多いですね。その人たちに「何のために働いているのか考えたことがありますか」と聞くと、「食べるため」と答えが返ってくることがあります。

 働かないと食べていけないのはその通りです。でも、働くために生きているわけではない。息をしないとすぐ死んでしまいますが、息をするために生きているわけではないでしょう。

――それはそうですね。

 私は13年前に心筋梗塞になってから、毎日薬を飲んでいます。やめてしまうとまた心筋梗塞を起こすので、ずっと飲み続けないといけません。そういう意味では、薬は私の命をつなぎとめているものです。でも、薬を飲むために生きているわけではありません。

 仕事も同じです。働くために生きているわけではありません。では何のために生きているかと言うと、幸せになるためです。われわれは幸せになるために生きています。生きるために働いているわけではないのです。

 もしも、いま働いているのに幸せではないと感じる人がいたら、仕事が間違っているか、仕事の仕方が間違っているかのどちらかです。この究極的な疑問も、まさに哲学のテーマです。実際に入社してすぐに辞めた人に理由を聞くと、最も大きな要因は「先輩や上司を見ていても、少しも幸せに見えなかったから」と答えた人がいました。この理由はまっとうですね。

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