京王・西武がライナー強化、ダイヤ改正で増発・延伸の理由は?(2/5 ページ)
鉄道会社にとって、春はダイヤ改正のシーズンだ。今年も2〜3月にかけてダイヤ改正が行われるが、筆者が注目しているのは「京王電鉄」と「西武鉄道」だ。その理由は……。
新しく着席列車を走らせるのは大変
まずは平日を見てみよう。朝時間帯の上り列車を京王八王子発は2本から3本に増やし、橋本発は2本から4本に増やした。八王子発で新設された列車は、6時27分京王八王子発、7時13分新宿着となり、ラッシュのピーク時が始まるころに座席指定列車が運行できることになった。これまでは6時04分京王八王子発、6時47分新宿着の早朝出勤向け列車と、8時31分発、9時16分着の遅い時間の出勤向け列車しかなかった。
橋本発で新設された列車は、早朝出勤向けの5時45分発、6時20分着、ピーク時を少しだけすぎた8時26分発、9時8分着となっている。これまでの6時19分発や8時49分発を補佐する形になっている。
新設された列車をピーク時前後ぎりぎりに設定することで、乗客が長距離を座ってより便利に通勤できることになったといえる。「ラッシュ時に着席列車」は利用者にとっても、鉄道事業者にとっても成し遂げたいことではあるが、現実には難しい。しかし今回、それを少しでも実現しつつあるのだ。
そして帰宅時間帯である。この時間帯には座りたい人も多いだろう。これまで京王八王子方面への「京王ライナー」は、20時というやや遅い時間から運行していた。1時間おきに、5本。今回のダイヤ改正では、さらに2本加わった。17時00分発と18時00分発。ちょうど帰宅時間帯だ。
橋本方面への京王ライナーはこれまで5本あった。こちらは毎時の発時刻を変更し、20時からは各20分発となる。一方、16時40分、17時40分発が新設される。こちらも、帰宅時間帯にぴったりだ。
帰宅時間帯は、多くの人が仕事で疲れている。そんな中、満員電車で長距離を帰りたくない人も多いだろう。京王電鉄の特急や準特急は、長距離の利用者でこの時間帯は満員であることも多い。その状況の中で、ダイヤを縫って新しく着席列車を走らせるのは、大変なことだ。
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