京王・西武がライナー強化、ダイヤ改正で増発・延伸の理由は?(4/5 ページ)
鉄道会社にとって、春はダイヤ改正のシーズンだ。今年も2〜3月にかけてダイヤ改正が行われるが、筆者が注目しているのは「京王電鉄」と「西武鉄道」だ。その理由は……。
西武「S-TRAIN」が小手指まで延長
西武鉄道は通勤向けの着席サービスに熱心な事業者だ。3月14日のダイヤ改正では池袋線特急は「Laview」に置き換えられ、池袋23時00分発の特急は所沢・入間市で飯能行きに接続、23時30分発は所沢で小手指行きに接続する。これにより、特急通過駅の利用者の所沢までの特急利用をうながすことになる。
西武は観光だけではなく、特急を通勤にも利用してもらおうと力を入れており、チケットレスサービスは常連客に特化した仕様となっている。
さらにそのチケットレスサービスで、有料座席指定列車「S-TRAIN」や「拝島ライナー」の利用もうながしている。
「S-TRAIN」は、平日は東京メトロ有楽町線の豊洲と、西武池袋線の所沢とを結ぶ有料座席指定列車として運行している(土休日は別区間)。その「S-TRAIN」が、所沢からさらに小手指まで運行区間を延伸するのだ。
これまで「S-TRAIN」は、豊洲・有楽町・飯田橋で乗客を乗せ、石神井公園・保谷・所沢で下車させていた。今回の改正で練馬が停車駅に加わり、小手指までの延長とあわせて、西所沢にも停車する。
練馬に停車することで通過駅への利便性を図るだけではなく、西所沢への停車で西武球場へのアクセスを確保し、小手指までの長距離通勤客の利便性をも視野に入れた。ただしもっとも早い豊洲18時00分発の列車でも西所沢着19時02分となっており、試合を最初から見ることはできない。
小手指という、特急は停車しないもののちょっと距離が遠い駅と都心とを結ぶのは、絶妙な設定である。所沢よりも東京の通勤圏であり、そのエリアに対しても適切なサービスを提供しようという意図が感じられる。
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