橋下徹大阪府知事が「繁華街のネオン規制」を大幅に緩和した理由――猥雑さと雑多さ生かし「唯一無二の観光都市」に:橋下徹“異端”の仕事術【4】(3/3 ページ)
この連載では大阪府庁、大阪市庁という巨大組織を率いたリーダー、橋下徹の仕事術をお届けする。組織を変革し、停滞の一途をたどっていた大阪を、圧倒的な実行力で立て直してきた橋下の働き方についての考え方に迫る。第4回目は、大阪府知事だった橋下が、「定住人口を増やす」という課題に対して、取った戦略について語ってもらった。
経済が上向いた要因に観光化あり
今、大阪の「ミナミ」の屋外広告物規制は大幅に緩和されており、他地域に比べて大きな看板が設置できたり、派手な色を利用できたり、大型動画ビジョンを設置したりできるようになりました。その結果として、大阪の「ミナミ」は、ド派手な看板、ネオンギラギラの空気感を醸し出しています。ニューヨークのタイムズスクエアにも見劣りしません。その空気感によって種々雑多なお店も集まり、「雑多にいろんなものが混在しているエネルギッシュな街・大阪」「アジアの熱を感じられる街・大阪」という特色が、他の地域から抜きん出る大阪の商品価値になっています。
そしてそれを目当てに、京都をしのぐものすごい数の外国人観光客が集まってきています。その一つの証として、現在、外国人観光客を対象に行われているさまざまなアンケートでは、大阪を訪れる理由の上位に、「エネルギーを感じる」「アジアの熱を感じる」といった答えが並びます。
これは言い換えれば、ごちゃまぜの猥雑さ、あえていえば下品ともいえる熱気を求めて大阪を訪れているということだと思います。きれいな風情漂う街を見たければ京都や奈良に行けばいいわけで、こうしたアンケート調査からも、猥雑さ、下品さをウリにした戦略は間違っていなかったと確信しました。少しいいように捉えすぎでしょうか(笑)。
しかし、現に大阪の数々の経済指標が上向きになっており、その一大要因は、東京に続いて、多くの外国人観光客が大阪を訪れているからであることは間違いありません。
ここではっきりいえるのは、自分の現状や特性を偽って、自分のウリにしようとしてもダメだということです。自分を素直に直視して自分のウリをつくっていってください。
これまでやってきた方向性を的確に認識すること、そしてその方向性を180度逆転させる「逆張り」の発想こそが変革をもたらすのです。
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