「人材サービス」が“社会の敵”にならないために 運営側、企業側、求職者全てが知っておくべき基本事項:新連載・「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?(2/5 ページ)
2019年、就活サイトの内定辞退率問題で注目を集めた「人材サービス」だが、今その公益性が問われている。しかしながら、ひとくちに「人材サービス」といっても、その実態はなかなか分かりづらいのが現状だ。「人材サービスの公益的発展を考える会」を主催し、「人材サービス」に詳しい川上敬太郎氏が分かりやすく「そもそも」を解説する。
「人材」の真の意味
実は、人材サービスの定義は明確に定まってはいません。人材の“材”は、材料だと誤解されがちですが、本来は才能という意味です。そう考えると、人材サービスとは人が持つ才能を生かしたサービスだと捉えることができます。ただ、一般的には労働力にまつわる才能として捉えられていると思います。
人材サービスとして、イメージしやすい例の1つに労働力の「需給調整」機能があります。労働力を提供する求職者側と、労働力を必要とする求人企業側、双方のニーズを調整して互いに満たし、就業(求人企業側から見れば採用)を成立させることを指します。
人材サービス事業は厚生労働省の管轄ですが、実際に監督している部門は職業安定局にある需給調整事業課です。各都道府県の労働局にも需給調整事業部門が置かれています。それらの名称からも、人材サービス=労働力需給調整機能と結び付けやすいかもしれません。
大きく分けて9分類
一方で、人材サービスの意味を“人材に関連するサービス全般”と広く捉えると、労働力の需給調整機能だけでなく、労働力を提供する側の教育訓練といった「求職者サポート」、労働力を必要とする側の労務管理補助などの「求人企業サポート」も、人材サービスの一環と見なすことができます。
また、人材サービスの担い手は多様です。求人媒体や人材紹介、人材派遣などの需給調整機能をサービスとして提供しているのは民間事業者です。一方、公共職業安定所(ハローワーク)を運営しているのは行政。他にも、労働組合や学校なども需給調整機能を無償でサービスとして提供しています。
人材サービスが有する機能を横軸、サービス提供者を縦軸に並べて整理してみると、以下の9パターンあることが分かります。
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