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活況の“転職市場”を支える「人材サービス」 企業が知るべきことと事業者が心掛けるべきこと連載・「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?(2/5 ページ)

2019年、就活サイトの内定辞退率問題で注目を集めた「人材サービス」だが、今その公益性が問われている。しかしながら、ひとくちに「人材サービス」といっても、その実態はなかなか分かりづらいのが現状だ。「人材サービスの公益的発展を考える会」を主催し、「人材サービス」に詳しい川上敬太郎氏が転職に関するサービスを解説する。

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求人媒体が人気の理由

 人材紹介とは、有料の職業安定所のようなサービスです。「転職エージェント」と呼ばれることもあります。採用が決定すると、採用企業が人材紹介事業者に手数料を支払う仕組みです。手数料の相場は、採用予定者が初年度に受け取ると想定される年収の35%とされています。

 例えば、採用した人の初年度年収が500万円であれば、500万×35%=175万円が手数料となります。これはかなり大きな金額でしょう。そのため、企業としても、気軽に利用しづらいサービスだと言えます。もし公共職業安定所(ハローワーク)経由で採用できれば、支払う手数料は0円です。しかし、実際の採用現場は全ての人材をハローワークで採用できるほど甘くはありません。

 採用できないと、企業は人員不足の状態で事業運営することになります。そのため、もし不足している人員が営業職であれば、その欠員分はそのまま売り上げ、利益の減少に直結します。また事務職であったとしても、欠員状態が続くと既存社員が業務に追われて疲弊してしまい、ミスを誘発したり、さらなる退職者を出してしまうこともありえます。


欠員はそのまま売り上げ、利益の減少にもつながる(画像はイメージ、出所;ゲッティイメージズ)

 採用できない状態は、それ自体が事業運営上のリスクです。従って企業としては、有料であったとしても新たな採用ルートを確保する必要が出てきます。とはいえ、有料であってもリーズナブルであった方が当然よいはずです。そのため高額な人材紹介を利用するよりも、比較的安価な求人媒体を利用する企業が多いのだと思います。

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