スパイは社員に紛れている! 三菱電機、ソフトバンクの情報漏洩が人ごとではない理由:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
三菱電機やソフトバンクの社内情報が、サイバー攻撃やスパイによって流出したことが報じられた。だが、このような手口は最近始まったことではないのが現実だ。日本の全ての企業が標的になっていると考えて対策に乗り出さなくては、どんどん喰い物にされてしまう。
やはり、というしかない。
朝日新聞の報道を受けて、三菱電機がサイバー攻撃を受けていたことを認めたのは1月20日のこと。同社は、「当社のネットワークが第三者による不正アクセスを受け、個人情報と企業機密が外部に流出した可能性があることを確認している」と発表し、防衛やインフラなど機密性の高い情報は漏れていないと主張した。
だが、2月10日に防衛省が「自衛隊の装備品の試作に関する入札の情報が流出した可能性がある」(共同通信、2月10日付)、また「防衛装備品に関する『機微な情報』が含まれていた」(朝日新聞、2月10日)と公表。案の定と言うべきか、漏れていた可能性が出てきた。
また1月25日には、ソフトバンクの元社員、荒木豊容疑者が、5G(第5世代移動通信システム)にからむ社内情報をロシア通商代表部に所属していたロシア人スパイに渡していたとして逮捕されている。そして2月10日、通商代表部の職員が警視庁からの出頭要請を無視してロシアに帰国したことが報じられた。これも予想通りである。
また詳細は公開されていないが、NECがサイバー攻撃に遭っていたことも1月30日に表面化しているし、2月6日には神戸製鋼所と航空測量大手パスコもサイバー攻撃を受けていたと明らかになっている。
こうした事件から分かるのは、日本の企業が見事なまでに世界から「喰い物」にされている現実だ。そんな現実を私たちはどう捉え、日本の企業はいったい何をすべきなのか。図らずも何件ものケースが「健全」に表面化した今こそ、あらためて日本が直面している脅威と、それに向けた対策を考えるべきではないだろうか。
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