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ディーカレット、電子マネー扱いのステーブルコイン「プログラマブルマネー」 KDDIと実証実験(2/2 ページ)

円建てのステーブルコインの開発を進めてきたディーカレットが、価格が円と連動したデジタル通貨の実証実験をKDDIと実施する。いわゆるステーブルコインは、現在の国内の法律では仮想通貨には当たらず、どんな取り扱いになるのか不透明な状態だ。ディーカレットは、今回資金移動型の電子マネーという扱いを取り、発行を可能にする。名称は「プログラマブルマネー」とした。

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プログラマブルなのが最大の特徴

 通常のデータベースの代わりにブロックチェーンを使うのが、電子マネーとの技術的な違いだ。ただし、それによって、スマートコントラクト(処理の自動化)が実行できることが大きい。スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上でプログラムを実行し、定められた通りの取引を自動実行する仕組みを指す。

 何かを購入するときには、モノの権利の受け渡しと同時にお金のやりとりが必要だが、現在は別途銀行振込などを行い、着金を確認してから受け渡しを行う仕組みが多い。ところが、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを使えば、例えばデジタル証券(セキュリティートークン)を売買する際に、受け渡しと同時に決済も完了できる。

 さまざまな権利やアイテムがトークン化していくと見込まれる中、こうしたDVP(Delivery versus Payment)決済のニーズは高まると見られており、いち早く対応できるプラットフォームを提供していく狙いだ。

 具体的なユースケースとして、今回実証実験を行うauフィナンシャルホールディングスの藤井達人最高デジタル責任者は、ブロックチェーン上のデジタルアイテムやデジタル証券、オンラインチケット、データアクセスなどの取引や、分散型金融(DeFi)として知られる、寄付や交付金、エスクロー、レンディングなどの自動実行を挙げた。また、機器同士のP2P決済や、社内通貨、地域通貨などの可能性もあるとした。


ディーカレットの白石陽介CTO

KDDI内で実証実験

 今回、プログラマブルマネーのプラットフォームを使い、KDDI内で20人規模の実証実験を行う。グループ内のWebMoneyが発行体となり、デジタル通貨を自動発行。発行額と同額の日本円を保全者に預ける。利用者はKDDIを介してデジタル通貨を受け取り、実験用のカフェで飲み物を購入できる。カフェが受け取ったデジタル通貨はKDDIを介してWebMoneyに戻り、償却される仕組みだ。


KDDIと行う実証実験の流れ

 スマートコントラクトも検証する。前日と気温差があれば自動で値引きする機能を盛り込んだ。「ユーザーにとって、使い勝手が変わらないインタフェースで使えることを検証したい」と藤井氏は言う。

 今回のプログラマブルマネーのメインとなるニーズは、企業間決済での利用だと白石氏は話す。今後、資金移動業や銀行業のライセンスを持つ企業にプラットフォームを提供していく。さらに次のステップとしては、各社が発行するプログラマブルマネー同士を交換できるプラットフォームを提供していく計画だ。

 「他社のステーブルコインを上場させて使うとなると、まだ法的にもいろいろ問題がある。我々は、法律をクリアして、まずは世に出そうと。ステーブルコインが広まればいろいろな可能性が広がってくる」(白石氏)

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