橋下徹が実践してきた「部下の動かし方」 会議は「獲得目標の設定」を、評価は「見える化」を徹底せよ:橋下徹“異端”の仕事術【5】(4/5 ページ)
大阪府庁、大阪市庁という巨大組織を率いたリーダー、橋下徹の仕事術をお届けする。組織を変革し、停滞の一途をたどっていた大阪を、圧倒的な実行力で立て直してきた橋下の働き方についての考え方に迫る。第5回目は、橋下が実践してきた「部下の動かし方」を中心に、会議や評価の効果的な実施方法を聞いた。
「部下は自分のようにはできない」と心得る
評価基準を見える化し、部下を評価する際に特に気を付けなければならない点は、「部下は自分と同じようにはできない」という認識を常に持っておくことです。部下に自分と同じレベルを求めることはご法度だと思ってください。
上司はついつい「自分がここまでやれたんだから、部下もできるはずだ」と考えてしまいがちです。しかし、それは部下に対する過剰な要求につながっていく危険性が高いのです。
たとえ「自分が若いときにはこれだけやっていた!」という思いがあっても、あなたの時代や状況と今はまったく異なります。若い人たちの意識もまったく異なるでしょう。そしてあなたは優秀だからこそ上司になったのであり、部下はそれだけのレベルに達していないからこそ部下なのです。
よく「名プレイヤーは名監督になれない」といいますが、それは自分が「できる人」であるがために、「できない人」の気持ちも、「できない人」がどこでつまずくのかも分からないからでしょう。「部下は自分と同じようにはできない」というのは、名プレイヤーが名監督になるための重要な心得です。
この認識がないと、部下に対して常に高いハードルを設けてしまいかねません。過去に僕も、自分が率いる法律事務所で失敗しました。新人弁護士2人に対して、自分がやっていたようなことを求めすぎてしまい、彼らはわずか数日で事務所を辞めてしまいました。人が成長する一番の要素は自分自身のやる気と行動ですから、自分の力で何とか抜きん出ようとしている部下を追い込みすぎない気遣いをすることは、部下を動かすマネジメントには必須のことだといえます。
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