第3次韓流ブームの真相――それでも中高年が韓国に「上から目線」な訳:誤解だらけの日韓関係を問う(4/4 ページ)
今の韓流ブームは「第3次」とされる。その実態と支持層について毎日新聞の外信部長が分析。ブームに反し中高年世代に「反韓」感情が強い理由とは?
「三つ子の魂百までも」ではないが、若い頃の物の見方から自由になることは、どんな人にも難しい。韓国の国力が強くなったことを直視すべきだと説く私にしても、そうした「上から目線」から完全に自由だと言い切る自信はない。韓流にあこがれて育った若い世代とは、どうしても感覚が違うのである。
韓国に対する「感じ方」において、世代間で差があることは当然だ。その「世代差」自体の善し悪しを論じるつもりはない。
世論調査でも「嫌韓」は中高年に集中
ただ、そうした世代差は、事実として世論調査から読み取れるのである。分かりやすいのは、日本政府による「外交に関する世論調査」だ。米国や中国、韓国について「親しみを感じるか」などの設問を毎年調査している。
2019年調査では、韓国に親しみを感じると答えた人は26.7%だった。同じ質問を1978年に始めてから最低となった。朴パ ククネ槿恵政権初期に慰安婦問題での対立が激化し、「告げ口外交」だという非難が日本国内で高まった2014年の31.5%がそれまでの最低だった。1987年の民主化以前でも4割程度が普通だっただけに、底割れした感がある。
興味深いのが世代差だ。「韓国に親しみを感じる」という回答が18〜29歳では45.7%あるのに、70歳以上では17.4%。3倍近い格差である。他の年代も見ると、30代32.5%、40代27.1%、50代28.9%、60代24.7%だった。年齢が高くになるにつれ、韓国への見方が厳しくなる傾向が一目瞭然である。男女の差も大きく、男性が22 .3%であるのに対し、女性は30.5%だった。
朝日新聞は2019年9月の世論調査でストレートに「韓国を好きか、嫌いか」と聞いた。「好き」が13%、「嫌い」29%、「どちらでもない」56%だった。ここでも世代による違いは歴然としていた。朝日新聞は「18 〜29歳は『好き』が23%で、『嫌い』より多い。
『嫌い』は、高い年齢層に多い傾向がみられ、70 歳以上では41%が『嫌い』と答えた。特に女性は、18〜29歳、30代ともに『好き』が2割を超え、『嫌い』を上回った。男性も18〜29歳では『好き』が2割で、他の年代より高い。一方、40代以上は『嫌い』が『好き』を大きく上回り、男性では50代以上の4割が『嫌い』と答えた」と伝えた。
著者プロフィール
澤田克己(さわだ かつみ)
毎日新聞外信部長。1967年埼玉県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。在学中、延世大学(ソウル)で韓国語を学ぶ。1991年毎日新聞社入社。政治部などを経てソウル特派員を計8年半、ジュネーブ特派員を4年務める。2018年より現職。著書に『韓国「反日」の真相』(文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)など多数。
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