引越し難民が起きる構造問題を、引越し業者のマッチングが解決するかもしれない(2/3 ページ)
ここ数年、引っ越しをしたいのに業者が見つからない、見つかっても非常に高額な料金を請求されるという「引っ越し難民」が話題になっている。長距離で荷物は少ないと、帰りがロスになるため、長距離の引越しが難民化しやすい。リベロが始めた引越し業者同士をマッチングプラットフォームHAKOPLAは、この問題の解決に挑む。
特に厳しい、長距離の家族引越し
特に厳しいのが、東京から大阪のような長距離の引越しだ。引越し業者は地域に密着した零細業者が多く、全国展開しているのは1割程度の大手業者だけ。「例年、2月上旬くらいから引越し難民が出てくる。全国展開している大手に長距離が集中して、パンクしてしまう」と鹿島氏は話す。
大手でなくても長距離の引越しは不可能ではない。しかしそこにはビジネス上の課題があった。
「家族の長距離の引越しで、例えばトラック2台、おとな4人を3日間拘束することになると、百数十万円くらいになっても仕方ない。同じ人数と期間で地元で同じだけ受注したほうが効率的だからだ。忙しいからといって、無茶苦茶な金額を取っているわけではない」(鹿島氏)
しかしこれだけの価格を提示すると「高い」と悪評が立ってしまう。SNS全盛の今、こうしたリスクをできるだけ避けたいというのが、引越し業者の思いだ。
さらに、鹿島氏は「長距離で帰りの荷物がないと、帰りがロスになる」と話す。地域の引越し業者は帰りの引越し案件がなく、トラックを空にして帰ってくることになる。こうしたビジネス上の課題から、長距離の引越しが難民化しやすいわけだ。
引越し案件をマッチングするHAKOPLA
リベロはこの「空のトラック」に引越し難民問題を解決する鍵を見出した。「帰りのトラックが空になってしまうので、長距離の引越しはみんな受けない。でも東京から福岡に行く人がいるということは、逆の人もいる。うまく日程をマッチングすれば、往復便が完成するはず」(鹿島氏)
そこで開発したのが、引越しの案件を業者同士でマッチングするシステムHAKOPLAだ。遠距離の引越し依頼があったら、業者はHAKOPLAに案件を登録。帰りの引越し依頼が見つかったら、うまく日程を調整することで帰りも荷物を運ぶことができる。トラックが空でなくなるため、引越し料金も下げることが可能だ。
「片道だけの案件で60万円を提示し『高い』と言われながら引越しをするよりも、30万円+30万円で受けたほうが、利用者にとっても引越し業者にとってもいい」と鹿島氏。
HAKOPLAは、19年7月にスタートし、この1月には月間1000件をマッチングした。提携する引越し業者も50社を突破。80社が視野に入っている。鹿島氏は「月間1万件くらいのポテンシャルはある」と胸を張る。
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