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10年で市場4倍! 飲兵衛こそ「ノンアル」に、注目すべき理由スピン経済の歩き方(6/6 ページ)

ノンアルコールビール市場がこの10年で、4倍近く拡大している。お酒好きの人にとっては興味のない話かもしれないが、実はそういう人こそ注目しなければいけないニュースなのである。どういう意味かというと……。

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赤ら顔で酒を強要するおじさんたち

 ここまで「タバコ規制」と「飲酒規制」を並べてきたが、筆者は飲酒規制のほうがタバコのときよりも早く進む可能性が高いのではないかと見ている。その理由は、ゴールだ。WHOは最終的にタバコをこの世界から撲滅したいと考えていたので、愛煙家もタバコメーカーも必死に抵抗した。しかし、飲酒規制のゴールはそこまでではなく、あくまで「適正摂取」だ。

 そのため、社会としてもそこまで激しい反発は予想されず、酒類メーカー側もノンアル飲料の拡大や、アルコール度数の低減など「落としどころ」がたくさんある。また、飲み放題の禁止や、安売りの禁止は、消費者の懐は痛むも、価格の安定をのぞむメーカーにとってそれほど悪い話でもないので、大手メーカーが政府と話をまとめれば、一気に進んでいく可能性があるのだ。

 世界ではどんどん酒離れが進んでいる。パブ文化のあるイギリスでも若者の飲酒率はガクンと減って、アメリカのミレニアル世代では、体や精神の健康のために、あえて酒は飲まない「ソーバーキュリアス」という人々が増えており、ノンアルコールのカクテルを出すバーまでできたという。

 「海外ガー、欧米ガー、うるせえよ。そんな屁理屈こねてんのは飲みが足らないからだろ、ほら、クイっと空けろよ」なんて感じで、赤ら顔で酒を強要するおじさんが、歩きタバコでポイ捨てするイキったおじさんと同様、白眼視されるような世の中がもうそこまできているのかもしれない。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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