楽天と公取委、ひとまず“休戦” 「送料込みライン」問題、第2ラウンドは起こり得る?:緊急停止命令の申し立てを取り下げ(1/2 ページ)
楽天の「送料込みライン」問題に関して、公取委が緊急停止命令の申し立てを取り下げたと発表した。楽天が新型コロナウイルスの影響を受けて、3月18日の一斉導入を取りやめたことが原因とみられる。ひとまず“休戦”の形だが、理論武装を進める楽天。第2ラウンドが起こる可能性もある。
公正取引委員会は3月10日、楽天が運営するECモール「楽天市場」における、いわゆる「送料込みライン」の導入に関して、東京地方裁判所に対して行っていた緊急停止命令の申し立てを取り下げたと発表した。理由については「出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば、当面は、一時停止を求める緊急性が薄れるものと判断」としている。
「送料込みライン」は、酒類など一部商品や、一部地域を除き、税込3980円以上になる購入分については「送料込み」の価格で表示するよう出店者に義務付ける施策。楽天がこの施策を最初に発表したのは2019年1月の楽天新春カンファレンス。以降も、出店者らの意見を聞く機会を設けるなど、微修正を加えてきた。
この送料込みラインに対して、公正取引委員会は「優越的地位の濫用」に当たるとして捜査。2月28日には緊急停止命令の申し立てを東京地裁へ行った。一方の楽天側は「厳粛かつ真摯に受け止める」(担当者)としながら、「法令上の問題はない」(同)とのスタンスを崩していなかった。
とはいえ、楽天は3月6日に記者会見を開き、3月18日に一斉に開始する予定だった送料込みラインに関して、申請した出店者は適用を除外すると発表。また、送料込みラインを導入する出店者に対しては、利益に影響が出る可能性があることから「安心サポートプログラム」という名称で、金銭的な支援を行うことも打ち出した。一斉導入直前になっての方針転換について報道陣に理由を問われた楽天側は「新型コロナウイルスの影響」の一点張り。公取委の調査や出店者らの反対の影響については明言を避けているが、少なからず影響を及ぼしていそうだ。こうした対応を受けて、公取委は今回の取り下げに至ったとみられる。
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