“なんとなく”のコミュニケーションが壁 日本で働く外国人に聞いた「これが大変だった!」:「友達作り」にも苦労
ASIAtoJAPANが実施したアンケート調査結果によると、日本で働く外国人の多くが「職場でのコミュニケーション」で苦労していることが分かった。日本で働きたいと思った理由は「日本の文化が好きだから」が多かった。
「高度人材」として日本で働いている外国人が職場で困っていることは? アジア人材のコンサルティングや採用支援などを手掛けるASIAtoJAPAN(東京都中央区)が3月11日に発表したアンケート調査結果によると、日本で働く外国人の多くが「職場でのコミュニケーション」で苦労していることが分かった。
調査では、現在日本で働いている高度外国人材200人にアンケートを実施。日本で働きたいと思った理由について聞いたところ、最も多かったのは「日本の文化が好きだから」(23.9%)だった。「海外でチャレンジしたかったから」(16.8%)、「日本の技術や会社に興味があるから」(15.2%)という回答も多かった。「経済的な理由から」という回答はわずか7.4%だった。
日本の文化に興味を持って来日したものの、実際の仕事では大変なことも多いだろう。「仕事をする上で大変だったこと」については、「同期とのコミュニケーション」や「上司とのコミュニケーション」が大変だったという人が多かった。「すごく大変」「大変」「たまに大変」を合わせると、約8割がコミュニケーションについて大変だったと答えている。
同社は「日本人同士であれば通用する“なんとなく共通のコミュニケーション”が通用しないことから、外国人社員は『空気が読めない』存在になってしまいがち。報連相といった日本の仕事の様式を知らないことがほとんどのため、『日本人とは違う』という前提で丁寧に説明し、仕事の依頼や指示の仕方を工夫する必要がある」と分析している。
仕事以外の日常生活はどうだろうか。「日本で生活する上で大変だったこと」を尋ねると、提示した項目では多くの人が「便利」と回答しており、大きな苦労を感じている人は少ないようだ。その中でも「大変」「やや大変」という回答が多かったのは「友達作り」「引っ越し」「携帯電話の契約」だった。賃貸物件を契約するなど、煩雑な手続きを伴う行動に苦労しているようだ。
また、「海外では一人暮らしをする習慣がない地域が多く、1人で休日を過ごすことに慣れていない外国人は少なくない。日本人の感覚よりも寂しさや孤独を感じているケースがある」(同社)ということも、外国人と働く上で知っておいた方がいいだろう。
アンケートは2019年10月に実施。日本での就職を支援するプログラム「Study Go Work JAPAN」を通じてオファーを得た人とその友人で、現在日本で働いている200人を対象に実施した。回答者は主にアジア各国のトップ大学卒業生で、メーカー、IT、コンサルティング、外資系企業などに勤務している。
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