新型コロナウイルスで上場企業も大打撃 半数以上が業績に影響
東京商工リサーチは、新型コロナウイルスが上場企業に及ぼした影響について調査し、その結果を発表した。3月6日午後2時までに情報開示した上場企業436社に加え、自主的な開示はないものの、東京商工リサーチの独自調査で何らかの影響が判明した上場企業25社、合計461社の上場企業の対応をまとめている。
東京商工リサーチは、新型コロナウイルスが上場企業に及ぼした影響について調査し、その結果を発表した。3月6日午後2時までに情報開示した上場企業436社に加え、自主的な開示はないものの、東京商工リサーチの独自調査で何らかの影響が判明した上場企業25社、合計461社の上場企業の対応をまとめている。
情報開示した436社のうち、決算短信や業績予想の修正などで新型コロナウイルスの影響に言及したのは290社と、全体の半数以上に及んだ。このうち、87社(30.0%)が、売上高や利益の減少など業績などへのマイナス要因、業績予想の修正要因として新型コロナウイルスの影響を挙げている。
業績予想の修正額合計は、売上高で4584億円、最終利益で1057億円のマイナスとなった。そのうち、最大の修正額となったのは、売り上げ、利益ともに旅行業者大手のエイチ・アイ・エスだった。そのほか、203社(70.0%)が「影響の懸念がある」、もしくは「影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」としている。
また、従業員などに感染者が出たことを公表した企業が21社あったほか、在宅勤務などのテレワークや時差出勤の実施など、従業員の働き方の変更を公表した企業が35社あった。
悪影響に苦しむ企業が多い一方、IT関連業者などを中心に、テレワーク支援のためサービスツールなどの提供を案内する例(24社)や、休校中の子供たちに向けた教育支援コンテンツの無償提供やサービス案内(10社)など、この機をビジネスチャンスと捉え、積極的にアピールする動きもみられた。
461社の業種別では、製造業が最も多く217社(47.0%)だった。ついで、サービス業68社(同14.7%)、小売業54社(同11.7%)、情報通信業48社(同10.4%)、卸売業26社(同5.6%)、運輸業17社(同3.6%)、その他業種31社(同6.7%)と続いた。
今後、上場企業への悪影響が取引先や下請企業に波及すると、体力の乏しい中小企業の経営破綻を誘発する可能性もある。東京商工リサーチは、「多くの上場企業が本決算を迎える年度末にかけ、新型コロナウイルスによる影響がさらに表面化する可能性が高まっている」と予測している。
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