面接で「してはいけない質問」、知っていますか? 「思想・信条・宗教」だけではない、いくつものタブーとは:連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(4/4 ページ)
新卒採用のシーズンが始まった。採用面接では、求職者の人柄を知ろうと質問をする。しかし、何気なく質問してしまう事項でも、実は聞いてはいけないことがある。「思想・信条・宗教」はもちろんのこと、その他にもたくさん……。ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説する。
ネガティブな情報でも開示を
では、「誠意のある対応」とは何か。これまで述べてきたように、求職者に対して顧客同様に大切に接することが基本的な姿勢である。そして、「多くの企業が実践できておらず、逆にこれができれば採用と定着状況が目に見えて改善する」事項がある。それが前回に少しだけ言及した「情報開示」だ。あなたの会社がいかに小規模であろうが、いかに労務管理が不十分であろうが関係ない。何より重要なのは「正確な情報を出す」ことであり、それによって採用時のミスマッチが減り、結果的、長期的にはメリットが大きいと感じられることになるだろう。
筆者が考えるに、少なくとも会社は、次の情報を開示しなくてはならない。
「事業内容」
「具体的な仕事内容/一日の仕事の流れ」
「勤務条件」
「待遇」
「過去5年の売上高」
「過去5年の営業/経常利益」
「社員数」
「社員の出身校(採用実績)」
「離職率」
「離職者の離職理由」
「平均残業時間」
「平均勤続年数」
「自社ならではの強み/存在意義」
「商材/サービスにおける独自の強み」
「創業のきっかけ/経営者の思い」
「経営理念/ミッション/ビジョン」「会社沿革」
かつ、このほかの数字にまつわるデータは整理して用意しておくべきであるし、採用選考に関わる社員に対しても、それらを把握しておくよう徹底すべきである。
「そんな細かいところまで……」と思われるかもしれないが、あなたも求職者に対して事細かにいろいろなことを確認するはずだ。相手にはキッチリ聞いておいて、こちら側にとって都合の悪い情報を開示しないのはアンフェアである。
結論から申し上げると、たとえネガティブな情報でも、包み隠さず全て開示する方が求職者の納得度は高くなり、「覚悟を決めた」人だけが応募し、選考に残ることになる。応募してくる「母集団」は減ってしまうことになるだろうが、気にする必要はない。腹をくくれず、選考が進むほど辞退が増え、入社後もすぐに辞めてしまうような者が何千人集まっても意味はないからだ。たとえ数十人であっても、使命感をもって前向きに考えてくれる人を採用できたほうがよかろう。
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