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コロナショック、安全資産のはずだった債券はなぜ下落したのか?(1/3 ページ)

連日の株価乱高下に市場が揺れている。一般に、株価が下落するときは安全資産といわれる国債などの債券が買われる。いわゆる逆相関の関係だ。ところが、3月9日週に入ってから債券価格も下落。併せて金なども売られ、すべての資産価格が下がった。

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 連日の株価乱高下に市場が揺れている。一般に、株価が下落するときは安全資産といわれる国債などの債券が買われる。いわゆる逆相関の関係だ。ところが、3月9日週に入ってから債券価格も下落。併せて金なども売られ、すべての資産価格が下がった。

 なぜ安全資産であるはずの債券が売られたのか? アクサ・インベストメント・マネージャーズの債券ストラテジスト、木村龍太郎氏に聞いた。

株価下落と逆に、上がり続けた債券価格

 「当初、新型コロナウイルスは実体経済への影響が最も懸念されていた。1月半ばころから3月1週目までは、あくまで実体経済の減速リスクだった」

 木村氏は状況をこのように分析する。中国から始まった新型コロナウイルス。その封じ込めのために、中国政府は移動制限や工場のライン停止などを矢継ぎ早に打ち出した。世界経済の牽引役である中国経済のストップと、各種サプライチェーンへの影響が当初の懸念だった。


アクサ・インベストメント・マネージャーズの債券ストラテジスト、木村龍太郎氏(写真は2019年12月)

 一般的な景気後退と同じように、需要が一時的に落ち込むことで、企業の業績予想は下方修正され、株価は下落。そして、中央銀行の利下げを見込んで、債券は買われ、価格は上昇して金利は低下した。実際に3月9日までは、株価が下落する一方で、債券価格は上昇を続けていた。

 年初から米総合債券指数は4.7%の上昇。米国長期債利回りは、史上初めて1%を切るところまで下落し、年初から41%も下げた。利回りの低下は債券価格の上昇を表す。米国債20年超ETFでは、年初から価格は25%も上昇した。

 ここまでは、株式と債券は見事な逆相関。教科書どおりの動きだった。

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