2015年7月27日以前の記事
検索
ニュース

コロナショック、安全資産のはずだった債券はなぜ下落したのか?(2/3 ページ)

連日の株価乱高下に市場が揺れている。一般に、株価が下落するときは安全資産といわれる国債などの債券が買われる。いわゆる逆相関の関係だ。ところが、3月9日週に入ってから債券価格も下落。併せて金なども売られ、すべての資産価格が下がった。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

節目が変わった3月9日 きっかけは原油価格急落と欧州コロナ拡大

 これが一転したのが3月9日だ。木村氏は、背景には2つの要素があったと言う。

 一つは原油価格の急落だ。3月6日の産油国会合で、ロシアが減産を拒否。一方でサウジアラビアが増産に踏み切った。これにより、WTIの原油先物価格は30ドルを割り込むところまで下落した。

 「(米国の産油企業である)シェールオイル企業の損益分岐は50ドルだと見られており、原油価格が急落したことで、シェールオイル企業のデフォルト(債務不履行)懸念につながった。シェールオイル企業は、ハイイールド債で大きな位置を占めている。そのため、ハイイールド社債市場ではスプレッドが拡大。金融市場全体でリスクオフが加速した」(木村氏)

 もう一つは、新型コロナウイルス拡大の中心が欧州に移ったことだ。3月9日を転機にイタリアでの感染が急拡大した。「欧米の金融市場関係者の間では、当初は遠いアジアの出来事だった。冷静にいられたが、イタリアを発端に急速に感染が拡大していく中で、身近な切迫した問題になった。これがリスク資産を売却してキャッシュにする動きにつながった」(木村氏)


3月9日からイタリアの感染者数は急拡大した(外務省資料より)

 新型コロナウイルスの影響で、欧米の金融機関でもリモートワークの動きが高まっており、自宅などオフィス外からトレードをしなくてはいけないところも出てきているという。「オペレーティング上のエラーへの対処から、流動性が低下したり、持っていた資産を減らす動きにもつながっていると聞く」(木村氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る