“テレワーク急増”が弱点に? 新型コロナで勢いづくハッカー集団の危険な手口:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
新型コロナウイルス感染拡大で世界が混乱する中、それに便乗したサイバー攻撃が激増している。中国やロシアなどのハッカー集団が暗躍し、「弱み」につけ込もうと大量の偽メールをばらまいている。新型コロナに関する情報と見せかけたメールには注意が必要だ。
安倍晋三首相は3月14日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行されたことを受けて、記者会見を行った。現状はまだ非常事態だとはいえないとし、予定通り東京五輪を行いたいと述べた。
その前日の3月13日には、米国のドナルド・トランプ大統領が、国家非常事態を宣言した。これから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と戦うために500億ドルを充てると発表した。
当初からトランプ大統領は「状況は全てコントロールされている」と繰り返し発言して強がっていた。だが感染者数が増え続けていることで対策に本腰を入れざるを得なくなった。2020年は大統領選も控えており、新型コロナ対策はトランプの再選の行方をも左右しかねない。いくつもの州が非常事態を宣言する中、慌てて対策に乗り出した形だ。
筆者が取材した元米政府関係者は、「トランプは新型コロナを『unforeseen problem(思いがけない問題)』だと述べてきたが、この脅威は米国に突然やってきたのではない。米諜報機関はこれまで何年も、こうした感染症が国家の安全保障の脅威になると政府にも議会にも繰り返し述べていた」と指摘。さらに米国では、徹底した新型コロナの感染検査ができる状況になく、台湾や香港、ベトナムなどのように徹底した検査が必要だとの声が上がっていると述べている。
一方で、感染が落ち着いた中国政府は、この連載で前回指摘した通り、元気を取り戻して「スピン(情報操作)活動」を再開。新型コロナは「米軍が中国に持ち込んだ」などという無理筋な主張を始めている。今後、ロシアやイラン、北朝鮮なども巻き込んで今以上に各国のスピンがどんどん出てくることになるだろう。
そんな中、サイバー空間でも、中国やロシア、北朝鮮などがハッキングを活性化させている。政府系のサイバー攻撃者だけでなく、サイバー犯罪者も、新型コロナの混乱を好機とばかりに、サイバー攻撃で情報搾取や詐欺行為などを行っていることが次々と確認されているのだ。そして、テレワークなどが増えている日本も標的になっている。五輪を控え、焦りもある日本はそうした攻撃の餌食になりやすくなっているといえる。
関連記事
- 米国の新型コロナ“急拡大”で迫りくる「中国復活」の脅威
世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大している。日本の経済活動において影響力が大きい米国でも、多くの州で非常事態宣言が出された。米国は今、どのような状況なのか。このまま感染拡大が続けば、先に復活した中国の力が増すことにもつながりかねない。 - 新型コロナでデマ拡散「インフォデミック」に踊らされない“リテラシー”とは
新型コロナウイルスが世界的に広がっている中で、「中国による生物兵器だ」といったフェイクニュースも拡散している。このような「インフォデミック」を警戒し、真偽不明の情報に惑わされないようにするために、リテラシーを持って行動することが必要だ。 - 中国の超大国化がリスクに 新型コロナウイルスで表面化した「アジア人差別」と日本
中国発の新型コロナウイルスが世界で混乱を引き起こしているが、人種差別まで“伝染”している。欧米における「中国人への差別」は、同じアジア人である日本人にも降りかかる。この問題は世界の反中意識が高まれば、さらに深刻になる可能性がある。 - 日本が狙われる ロシアのドーピング処分で暴れる「クマさん」の危険
ロシアが五輪などの大会から4年間追放される処分が決まった。このことは、私たちと「関係ない」で済まないかもしれない。東京五輪と日本企業が「クマさん」による非常に危険な脅威にさらされる可能性があるからだ。「クマさん」が何をするのかというと…… - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.