新型コロナで見直された“最重要食品”とは? 巣ごもり消費と防衛消費の意外すぎる実態:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
新型コロナの流行は小売業にどのような影響を与えたのか。百貨店が苦戦する一方で、コンビニは堅調。スーパーやドラッグストア以外に売り上げを伸ばした業界とは?
一気に回復したホームセンター
ホームセンターは、スーパーと同様に消費増税以降、月次売上が前年割れという“退潮”の傾向が出ていたが、2月はコロナショックで一気に回復している。
DCMホールディングスは106.5%(95.7%)、コーナン商事は112.6%(101.1%)、コメリは106.9%(94.9%)、LIXILビバは108.3%(94.0%)、ジョイフル本田は102.2%(95.9%)、アークランドサカモトは101.9%(93.9%)、島忠は111.4%(96.2%)、ケーヨーは108.5%(94.5%)、ナフコが102.4%(92.9%)などとなっている。
特に好調だった「コーナン」のコーナン商事によると、「ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの紙製品やマスク、キッチン清掃のアルコールジェルといった除菌に関する商品が売れた」とのことで、コロナ関連商品の販売が急増した。ペーパーシーツも紙製品なのでよく動き、ウイルスの付いたものに触らないように手袋の需要も増えた。さらには、加湿機、空気清浄機が例年の1.5倍の勢いで売れている。
子どもの居るファミリーには、バドミントンなど軽めのスポーツ用品の動きが良く、いつもの2倍の販売数だ。学校が休みになり、ショッピングセンターのイベントもほとんどが中止で、退屈してる子どもたちの遊び道具として適していると見なされている。
意外なところでは、通常、2〜3月は住み替えが増えてリフォーム関連商品が売れるが、洗面器や温水洗浄便座のパーツが中国製のため、今年は量産できなくなっている。コーナンは豊富にストックしていたので、プロの業者に喜ばれている。
このように2月後半から3月初旬に、消費者は米、加工食品、衛生関連グッズ、(デマが原因ではあるが)トイレットペーパーなどの紙製品の買いだめに走ってきた。しかし「もう先週くらいからは落ち着いてきて、マスク不足を除けば、平時の消費に戻りつつある」といった声も、多くの小売業者から聞かれる。
コロナ特需は一瞬で、堅調だったドラッグストアはともかく、スーパーやホームセンターは再び消費増税不況に戻るのか。
極めて厳しい局面に追い込まれた百貨店に、大逆転の秘策は出てくるのか。
新型コロナの収束が見えない中、小売各社の動向から目が離せない。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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