新型コロナで見直された“最重要食品”とは? 巣ごもり消費と防衛消費の意外すぎる実態:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
新型コロナの流行は小売業にどのような影響を与えたのか。百貨店が苦戦する一方で、コンビニは堅調。スーパーやドラッグストア以外に売り上げを伸ばした業界とは?
顧客が押し寄せたドラッグストア
ドラッグストアは衛生関連の商品を扱っているのに加えて、近年は食品も充実してきているので、コロナ特需の恩恵を受けた。爆買い需要は落ち着いてきており、インバウンドの消費がなくなったのは痛いが、それを補って余りあるほど顧客が押し寄せた。
ウエルシアホールディングスは120.6%(104.1%)、ツルハホールディングスは107.1%(99.7%)、スギホールディングスは120.9%(105.3%)、ココカラファインは109.7%(101.4%)、マツモトキヨシホールディングスは108.0%(103.4%)、コスモス薬品は111.3%(101.6%)、サンドラッグは113.7%(99.8%)、カワチ薬品は104.5%(99.0%)、クスリのアオキホールディングスが112.2%(101.7%)などとなっている。
「スギ薬局」を運営するスギホールディングスによれば、「2月にはコロナ対策で、マスク、空間除菌剤、消毒液、体温計がよく売れた」(同社・広報)とのこと。
休校が広がってからは、米、カップ麺、レトルト食品、冷凍食品などの食品も売れてきている。
一方、メーク関連商品は不要不急の外出の自粛で厳しく、花粉症対策グッズも機能性ヨーグルトや納豆のような食品を除いて例年ほど売れていないそうだ。とはいえ、2月は客数が2桁を超えて伸び、顧客単価が低下したにもかかわらず大幅な前年比プラスとなった。
ココカラファイン・広報では、同様に「ハンドソープ、除菌剤、ウェットティッシュなどコロナ対策グッズが好調」とのことだ。今年は花粉の飛散が例年より早く、鼻炎薬などの花粉症対策グッズが早くから動いたとしており、スギホールディングスとは対照的だ。
東京都国分寺市内にある両チェーンの店に行ってみると、スギ薬局は出入口付近に「ウイルス警報」という滋養強壮ドリンクのコーナーを設置して、「今だからこそ!!体力アップ 手洗い・うがいも忘れずに!」と、コロナ対策を前面に出していた。一方のココカラファインは、出入り口付近に「花粉を忘れたいあなたへ。」といったキャッチコピーで、アレルギー専用鼻炎薬を前面に出して売っていた。両社の売場づくりのスタンスの違いが、花粉症に関する商品の売れ行きに影響した可能性がある。
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