新型コロナで見直された“最重要食品”とは? 巣ごもり消費と防衛消費の意外すぎる実態:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
新型コロナの流行は小売業にどのような影響を与えたのか。百貨店が苦戦する一方で、コンビニは堅調。スーパーやドラッグストア以外に売り上げを伸ばした業界とは?
息を吹き返したスーパー
スーパーは、巣ごもり消費の影響で景気の良い数字が並ぶ。消費増税以降、既存店売上高が前年を割れていたチェーンが多かったが、2月は挽回した。
イオンリテールは102.6%(98.6%)、イトーヨーカ堂は105.0%(95.7%)、ライフコーポレーションは108.6%(98.3%)、マルエツは105.9%(98.2%)、カスミは103.3%(96.8%)、いなげやは108.5%(98.5%)、ヤオコーは111.0%(100.4%)、イズミは101.3%(98.1%)、ユニーは108.7%(100.8%)、成城石井が102.2%(99.2%)などとなっている。
食品スーパー「ライフ」を運営するライフコーポレーション・広報は、「安倍首相が2月末に小中学校や高校の休校を要請した翌日から、お母さんたちが子どもにお昼ごはんをつくらなければならなくなり、売れ筋が変わった」と語る。
米、冷凍食品、乾麺、カップ麺、カレーやパスタソースのパウチ、納豆、缶詰などの売れ行きがいつもより良い。また、1人でたくさん買っていく傾向がある。
いなげやの広報も同様に「3月に学校が休校となって、子どもたちが家に居るようになってから、消費行動が変わった」と説明する。
2月には政府が不要不急の集まりなどの自粛を要請したことで、防衛消費のモードとなり、不安から一部米の買いだめも起きた。レトルト、缶詰、紙製品も動いた。
3月に入ってからは、内食志向が強くなって、外食からの切り替わりが進み、総菜、弁当、お酒、生鮮三品も売れてきているという。
総合スーパーのイオンでは、「食品が非常に伸びて、衣料や生活用品のマイナスを補ってくれている」(同社・広報)と、コロナ禍に負けず順調である。
また、室内用のスポーツ用品が売れており、前出のダンベルだけでなく、バランスボールやゴムチューブなどが動いている。フィットネスが営業を自粛している中での、一種の巣ごもり消費といえよう。
テーマパークや遊園地も営業を自粛し、子どもたちが家で退屈していることもあり、お父さんが家族をキャンプに連れていく機会が増えている。大自然の中で遊ぶのなら換気も濃厚接触もまず心配ない。そのため、テントなどのファミリーキャンプ用品の売れ行きも上がっている。
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