新型コロナで見直された“最重要食品”とは? 巣ごもり消費と防衛消費の意外すぎる実態:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
新型コロナの流行は小売業にどのような影響を与えたのか。百貨店が苦戦する一方で、コンビニは堅調。スーパーやドラッグストア以外に売り上げを伸ばした業界とは?
大打撃を受けた百貨店業界
百貨店の2月と1月の既存店売上高と概況はどうなっているのか。
百貨店は、感染予防のため海外からの渡航を禁じる政策がもろに響いて、2月は大きく売り上げを落としている。加えて、日本国民も政府の要請で不要不急の外出を控えているので、3月以降も新型コロナ禍が過ぎ去るまでは、残念ながら苦境が続くとみられる。
三越伊勢丹の2月の既存店売上高は前年同月比88.5%(1月の既存店売上高は前年同月比96.5%、以下同様に表記)。高島屋は子会社も合わせると87.7%(96.4%)、大丸松坂屋百貨店は72.1%(94.4%)、そごう・西武は93.5%(96.0%)、阪急阪神百貨店が85.7%(98.2%)などとなっている。
特にインバウンドの顧客が多い店ほど影響が大きく出ている。大丸心斎橋店は54.3%(96.4%)、三越銀座店は63.8%(100.7%)となっており、2月に売り上げが激減している。大丸心斎橋店の客数は、2月には前年同月比69.7%と3割減となった。
3月はさらに落ち込む見通しで、例年の3割の売り上げを達成できるかと頭を抱えている店すらある。イベントも自粛せざるを得なく、集客する術を打ち出すのも難しい現状だ。なお、三越伊勢丹の3月15日までの店頭売上高は、65.2%(前年同月比)にとどまっている。
コンビニは、2月の既存店売上高が前年を上回っているチェーンと、下回っているチェーンがあるが、全般に100%付近にある。消費増税以降の景気の落ち込みを加味すれば、良くも悪くもなく堅調だったといえるだろう。
セブン-イレブン・ジャパンは100.8%(101.5%)、ファミリーマートは99.1%(98.5%)、ローソンは99.6%(101.2%)、ミニストップが102.7%(103.5%)といった結果だった。
セブン-イレブンは冷凍食品に注力しており、ミニストップは「おにぎり100円」や「いれ立てコーヒー80円」の効果が出た模様。ファミリーマートとローソンも、景気が悪化している中で健闘している。
ファミリーマート・広報では、「冷凍食品が3割伸張している」と巣ごもり消費が進んでいると強調。カップ麺、レトルト食品、冷蔵ケースのパウチ食品などといった加工食品も全般的に堅調に推移しているとしている。
ローソン・広報によれば、3月2日の週に米だけでなく、通常の40%増の売り上げを達成している商品に、文庫・書籍、レトルト食品、せっけん・入浴剤が挙がった。30%増には、乾麺、衛生用品、冷凍食品。20%増は清掃用洗剤、生理用品、袋スナック、調理補助食品、調味料、オリジナル菓子、即席ご飯。
コンビニの報告を総合すると、全般に衛生に関する商品、内食関連商品が購入されている。また、家で静かに本を読んで過ごすなど、コロナ禍における消費者の生活風景が浮き彫りになっている。
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