新型コロナで見直された“最重要食品”とは? 巣ごもり消費と防衛消費の意外すぎる実態:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
新型コロナの流行は小売業にどのような影響を与えたのか。百貨店が苦戦する一方で、コンビニは堅調。スーパーやドラッグストア以外に売り上げを伸ばした業界とは?
新型コロナで注目された“最重要食品”とは
商品別の売れ筋では、冷凍食品、カップ麺、レトルト食品といった保存食品の他に、「米が良く売れている」という声が業種を問わず多数聞かれた。近年、日本では米の消費が減っているが、やはり米は主食であり、切らせてはいけない最重要食品と認識されているようだ。
ローソンでは、米の売り上げ伸長率が、3月2日の週で平年の50%増となった。
キャンプ用品、バドミントンなどの軽めの運動用品も売れている。また、人と人との接触性が低いアウトドア関連のグッズが売れてきている。じっと何日も家の中にこもってばかりもいられないというわけだ。
ユニークなところでは「普段はあまり動かないダンベルが良く売れている」(イオン・広報)という報告もある。同社の広報は「濃厚接触を避けるため、多くのフィットネスジムが閉まっているから、家でトレーニングをするため購入しているのではないか」と分析している。
また、マスクが品薄となっている理由は「大半の商品を中国で生産しているから」と小売各社は回答している。1つの国、しかも外国に生産を依存する供給体制の脆弱(ぜいじゃく)さが露呈した。人口が14億人もいる中国国内はもとより、世界中でマスクが不足しており、止まっていた工場が再稼働したとしてもそう簡単に行き渡ると思えない。
国内からの供給に切り替える動きも出ている。今年は2月中旬からスギ花粉が飛んでおり、3月に入ってヒノキ花粉も加わっている。そろそろマスクの備蓄が切れてきているという人も多く、花粉症を持つ人にとってはとてもつらい春だ。
トイレットペーパーが市井から消える騒ぎも落ち着いていない。2月末にSNSに投稿された「紙は中国で生産されているから品薄になる」というデマによるものである。実態は「ほぼ国内で生産されている。物流のキャパの関係で補充が進まないだけ」と、小売各社の見解は一致している。在庫は潤沢にあり、買い占める必要はないと消費者に呼びかけている。
世界各国でトイレットペーパーが売り切れる報道を見て不安に駆られる人もいる。しかし、ポケットティッシュ、紙おむつ、キッチンペーパー、生理用品なども含め、急いで買わなくても何の心配もないと小売各社とも真剣に訴えている。
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