好調ワークマン、コンビニと一線画す「秘密のフランチャイズ」戦略に迫る:コンビニオーナー“大反乱”の真相(2/4 ページ)
コンビニ業界で限界が指摘される「フランチャイズ」方式。他の小売り業界では果たしてどうか。作業服大手のワークマンのケースを探る。
加盟店との「共存共栄」は本当?
加盟時の平均年齢は今まで43.3歳だったのがここ1年で42.9歳まで若返り、話題の業態・ワークマンプラスでは42.3歳だ。「作業服店のおじさん・おばさん」といった感じの人だけでなく、アウトドアやスポーツ、ファッションに興味と知識がある若い夫婦などもオーナーに加わっているという。
加盟店との関係は「共存共栄の考え方で、本部と加盟店は対等の立場で付き合っています」とのこと。とはいえ、コンビニ本部も同じことを言うが、理念と実態にはズレがある。ワークマンではどうか。
八田部長によるとワークマンには「ノルマが無い」 。にわかには信じ難いが、「お店も社員もそうしています。仕入れの(商品)数はお店に出してもらっているが、あくまでもそのお店が売りたい、売れる数(に基づいている)。SV(加盟店の監督役社員)のKPI(評価要素)の中にもそういったものはない」(八田部長)と主張する。
店舗の「共食い」どう防ぐ?
コンビニで課題が噴出する背景には、大手各社のドミナント戦略にもとづく大量出店による市場の飽和がある。例えば「セブンイレブンのすぐ近くにセブンイレブンができることでカニバリズム(共喰い)が起きる」現象だ。
ワークマンは「10万人に1店舗」を目安に、「厳密な調査の上で商圏を設定し、店舗同士が喰い合わないようにしている」と主張する。「首都圏のようにある程度店の売り上げが高くなってくると、近くに出店してお客さんを分散させたりもしている。カニバリ(共喰い)が生ずるかというと若干はあるが、お客さんの利便性から考えています」(八田部長) 。
チェーン展開で実際に“カニバリ”が生じるかどうかは、その業種が成長市場であるかどうかと、その中での自社のポジションにも関わってくる。コンビニは市場が飽和し、各チェーンの店舗が乱立した上、ドラッグストアや通販との競争が激化しているのが現状だ。作業服小売りのワークマンはどうだろう。
同社がもともと立脚する作業着市場は「縮小傾向にある」と、八田部長は説明する。「リーマンショックの時を除いて当社の売り上げは伸び続け、いま1200億円(※20年3月期業績予想)。一方で作業着の市場自体は縮小している。作業着と普段着とのボーダーレス化が生じていて、作業の際に例えばユニクロの服を着る人もたくさんいます」
作業着市場が縮小する中、作業着の製造・販売で培った経験を生かし、キャンプや釣り、バイクなどのアウトドアシーン、タウンユース、顧客層でいえば若者、女性にターゲットを拡大した点に成長の要因がある、と説明する。例えばワークマンプラスの業態では客の半数程度が女性だという。
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