プライベートブランドの帝王「コストコ」が、成功している本当の理由:背景に「雑誌」(3/4 ページ)
米国で、プライベートブランドの売り上げが好調だ。2019年には前年比3.8%の伸びを示しているわけだが、その中でも好調なのが「コストコ」だ。同社はどのような戦略で、売り上げを伸ばしたのか。そのヒントに雑誌がある。
雑誌のターゲット
では、コストコはどのような内容の雑誌を発行しているのだろうか。「Costco Connection」は、約140ページほどのボリュームがあり、さまざまなトピックで構成されている。
コストコの店舗で購入できる食材を使用した料理のレシピに始まり、パッケージ旅行、自動車関連サービス、家電、インテリア、書籍、プライベートブランドの「Kirkland Signature(カークランド・シグネチャー)」の紹介、ライフスタイルや健康に関する記事などが盛り込まれている。
また近年、競合が増えつつあるPBは、他社との違いを出しにくいという課題があるが、雑誌の存在は、同社のPB「カークランド・シグネチャー」の商品を知ってもらうきっかけとして効果的だ。さらに、「Costco Connection」は媒体としても影響力が増しているため、広告収入による利益をもたらしている。それは、読者であるエグゼクティブメンバーが、魅力的なターゲットだからだ。
エグゼクティブメンバーの多くは、大学卒の高学歴で自宅を所有している。また平均年齢が58歳で、世帯年収は11万9000ドル(約1300万円)という裕福な層なのだ。先に述べたように、エグゼクティブメンバーは、店舗に訪れる回数も多く1回当たりの購入金額も高めだということもセールスポイントとなっている。
これだけの好条件が整えば、雑誌に広告を出したいと思う企業が多いのも当然だ。PBの人気に危機感を持つ、有名ブランドも例外ではない。雑誌の発行部数が多いため、広告掲載料もかなり高額になるのだが、それでも費用対効果は高いという。
このように、企業からの広告収入により雑誌の運営を継続できるため、コストコは顧客向けサービスを充実させることが可能になっている。
顧客の満足度を高めることは、コストコにとってビジネスの核となっている。同社のように会員制を採用しているビジネスモデルでは、新規会員の獲得だけでなく既存会員の更新率が非常に重要になってくるからだ。コストコの利益の4分の3が年会費から賄われているとなれば、なおさらだ。
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