トヨタとNTTの提携 途方もない挑戦の始まり:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)
トヨタ自動車とNTTが提携を発表した。豊田社長は、2018年のCESで「トヨタはモビリティカンパニーへと変わる」と宣言した。それを今トヨタは別の言葉で再定義しようとしている。「クルマは社会システムの一部になる」だ。そう見ると、情報インフラ企業としてのNTTと、人の移動インフラ企業としてのトヨタが協業することは、ある意味当たり前だろう。
3月24日、トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、相互に2000億円の株式を取得する提携を発表した。
トヨタは、NTTが実施する第三者割当による自己株式の処分により、NTTの普通株式8077万5400株(発行済株式総数に対する所有割合約2.07%、総額約2000億円)を取得、NTTは、トヨタ自動車が実施する第三者割当による自己株式の処分により、トヨタ自動車の普通株式2973万0900株(発行済株式総数に対する所有割合約0.90%、総額約2000億円)を取得する。
という概要なのだが、まず規模が途方もない。トヨタアライアンスが成立した際、マツダ、スバルとのそれぞれの提携は500億円規模であったが、その実に4倍。トヨタの年間営業利益が約2兆5000億円なので営業利益の8%。約1兆円の年間研究開発費の20%に相当する。
未来を生み出すために
さてこの提携で何をするのか、そしてなぜここまで大規模なのかを説明しないと、解説にならないだろう。ちょっとクラクラするくらい大変だが、やってみる。
まず、豊田章男社長の言葉を引用しよう。
(今回の提携は)NTTとともに未来を創造するための投資だと我々は考えていまして、価値観を共有し社会の発展を目指すパートナーとして長期的かつ継続的な協業関係を構築する上には、一方的な出資ではなく、パートナーと対等出資することで、お互いに学び合い、競争力を高め合うというところに意義があると言うふうに思っております
多分、ここでのキーワードは「社会の発展」だ。社会全体にはささいな困ったことがたくさんあって、それらが積み重なって諸々の問題を生み出している。
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