「経営者目線」より「第三者目線」を ブラック企業とみなされる5つのチェックポイント:連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(2/8 ページ)
内部からは気付きづらい「ブラック企業」の特徴をご存じだろうか。働いていると「当たり前」と感じているものでも、外部から見たら“真っ黒”という会社も中には存在する。あなたの会社は大丈夫? ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説。ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説する。
必要なのは「経営者目線」ではなく「第三者目線」
ブラック企業の当事者、特に経営陣には、自分たちの会社がブラック企業であるという認識が希薄だ。彼らにとってはブラックな状態こそが日常であり、自分達が掲げる崇高な志を実現するためには、労働環境が多少伴わないことくらいは仕方がない、との認識によるものであろう。
しかし、ある組織がブラックかどうかはそのような経営者からの目線ではなく、「従業員目線」や「消費者目線」、そして「取引先目線」といった「第三者目線」で決まるといってよい。「自分たちがブラックだとは全然思わない」という言い訳が通用しないことは、まさにその言葉を発した他ならぬ「ワタミ」が証明してくれている。同社は2013年前後から厳しい“ブラック批判”にさらされ、一時は債務超過と倒産寸前にまで陥ってしまった。その後、懸命な努力によって労働環境を大幅に改善することに成功し、先般「ホワイト企業大賞」特別賞を受賞するまでになったが、依然として懐疑的な考えを持つ人は多いようだ。実態はどうあれ、「世間から『ブラック企業』だと認識されている」ことが大きなリスクになる時代、経営者たちにはぜひわが身を振り返って確認していただきたいところである。
ではここから、「当事者はさほど気にしないが、第三者目線ではブラック認定されてしまうポイント」についてみていこう。
ブラック認定ポイント(1):労働時間
まずは時間外時間についてである。「残業がない会社」がニュースになるくらい、時間外労働は全国どこの職場においても見られる。しかし本来は、残業が発生すること自体が法律違反であることを忘れてはならない。日本の法令において、時間外労働が許されるのは次の3つの場合のみだ。
- 「災害などで臨時の必要がある場合」
- 「国家/地方公務員が、公務のために臨時の必要がある場合」
- 「労使協定(通称『36協定』)を書面で締結して、労基署に届け出た場合」
もちろん、時間外労働には超過勤務手当、すなわち残業代の支払いも発生する。これを支払わない場合は法律違反だ。経営者なら、知らなかったでは済まされない。ブラック企業でありがちな言い訳は、「この業界では残業が当たり前」「定時で帰らせていたら仕事が終わらない」「社員が熱心だから、自発的に仕事をしている」といったものだ。
確かに「自発的な時間外労働」は、指示命令に従ったものではないということで、過去の判例で残業と認められなかったことがある。ただし、「明らかに定時では終わり切らない量の仕事を指示」した場合は、残業しろと命令しなかったとしても、「超過勤務の黙示の指示」として残業扱いになる。そんな状態を放置するのではなく、業務の割り振りや業務効率化、システム化などの対策をとっておかねばならない。
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