「経営者目線」より「第三者目線」を ブラック企業とみなされる5つのチェックポイント:連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(4/8 ページ)
内部からは気付きづらい「ブラック企業」の特徴をご存じだろうか。働いていると「当たり前」と感じているものでも、外部から見たら“真っ黒”という会社も中には存在する。あなたの会社は大丈夫? ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説。ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説する。
「最低賃金以上ならオッケー」では断じてない
最低賃金以上を支払っていれば法的には問題ないといえるが、長時間労働、もしくは重たい責任、高い目標へのプレッシャーを与えておきながら、それに見合わないレベルの安い報酬しか支払わない状態はいわゆる「使いつぶし」と認識され、ブラック企業認定されることになる。しばしば「当社の報酬は金ではない。人間的成長だ」とうそぶく経営者を目にするが、仮に共感した人物がいて、採用までには至ったとしても、実際に先立つものがなければ定着は難しい。
業務上必要な備品を購入する際や、営業活動に伴う交通費や出張費、顧客との打ち合わせの飲食費などを会社が支給せず、従業員が自腹負担することについて、法的な定めは存在していない。つまり「違法ではない」わけだが、その程度の経費を浮かせたとしても、「従業員に対する思いやりがないブラック企業」というネガティブな評判になってしまい、そちらの方がよほどマイナスである。
ちなみに業界や職種によっては、「取引先企業の商品を買え」と強制されることも慣習的に行われているようだが、相応の水準の給与を支払っているならまだしも、薄給のままでやらせているなら、これまたブラックと認識されても仕方ないだろう。
なお、「目標達成できなかったら」「遅刻・欠勤したら」といった理由で従業員から罰金を徴収する規定を設けている会社もあるが、多くは違法に運用されているようだ。そもそも労基法第16条において「使用者は労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはいけない」と決められている。従って、「ノルマ未達成による罰金」という設定はまさに「違法」なのだ。
ただ、遅刻や欠勤などで実際に働かない時間が発生した場合は、給与を減額することはできる。とはいえその場合も、就業規則で「○○の際には減給処分にする」という決まりを設けていなくてはならず、差し引けるのは働かなかった時間に相当する賃金だけだ。しかも差し引ける金額にも厳しい決まりがあり、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とされている。例えば、月給20万円、日給換算1万円という従業員の場合、1回の処分で減給できるのは最高5000円。また何度処分されても、減給総額は月給の10%の月2万円が上限となる。
また細かい話になるが、税金や社会保険料などの法定控除以外で、給料から会社が勝手に天引きするのは違法になる。その場合は、内容を労使協定で定めておかなくてはいけないのだ。
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