「経営者目線」より「第三者目線」を ブラック企業とみなされる5つのチェックポイント:連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(7/8 ページ)
内部からは気付きづらい「ブラック企業」の特徴をご存じだろうか。働いていると「当たり前」と感じているものでも、外部から見たら“真っ黒”という会社も中には存在する。あなたの会社は大丈夫? ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説。ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説する。
ブラック認定ポイント(5):業務内容
明らかに労働時間が長いのに、なかなか「ブラック」とは呼ばれない業界・職種がある。大手の新聞社、出版社、テレビ局、広告代理店、総合商社、投資銀行、戦略コンサルティング会社などだ。お察しの通り、これらの共通点は「ハードワークに見合った高給が得られる」ことや、「仕事を通じて培ったスキルや人脈が、社外でも活用できる」といったところである。
そして、当然その逆は「ブラック」と認識される。「ハードワークかつ給料が安い」「仕事をいくら頑張っても、スキルアップや成長につながらない」という共通点が見られ、会社にとって都合のよい部分(青天井で残業させる、自由に配置転換する)だけをとり、一方で待遇や将来については何ら保障しないという「アンフェアな競争」をしているのが特徴だ。こうした状況を許せば、キッチリ保障をしているまっとうな会社に比べて、ブラック企業の方が安価で従業員を使えることになり、結果的に、消費者に対して安く商材を提供できるブラック企業がより選好されることにもなりかねない。それでは経済も崩壊してしまうだろう。
また、従業員教育にお金や時間をかける意識、もしくは余裕がない会社も、雇用する上での責任を果たしていないという点でブラック扱いされる。仮に研修があったとしても、「OJT」という名のもと、現場に丸投げするだけでは同じことだ。放置しておきながら、それによって退職者が出てしまうことは織り込み済みで、残った人材を使えばいいと開き直る会社は「使いつぶし」といわれてしまうことになる。
必達目標としての「ノルマ」が厳しいというのはどこの組織でもあることだが、仮に未達成となった場合の対応の違いが、ブラックか否かを分かつことになる。上司や先輩による叱咤や「詰め」(至らない点を指摘し、精神的に追い詰めること)が行われるなど、個人の責任を追及するようではブラック企業だ。もちろん達成できなかった個人にも課題はあるだろうが、本人の行動計画は適正であったか、どんな提案をしていたのか……など、組織としてフォローできる体制になっていることが望まれる。
たとえハードワークでも低賃金でも、それによって何かしらの知見やスキル向上につながっているのであればまだ頑張れるエネルギーとなり得るが、仮にそれが「社内会議資料を美しく仕上げる」とか「社内システムの取り扱いに精通する」といった内向きのものでしかなかったり、単にルーティン作業を繰り返したりしているだけであれば、労働市場における価値向上につながらず、これまた「使いつぶし」とされても文句は言えない。
また、スキル向上や好待遇が得られる仕事だとしても、提案する商材やサービスが自社利益のためだけになる場合も同様にブラックである。顧客が一方的に損失を被るもの、全く必要がないものなどを強引に売りつけたり、場合によっては虚偽のセールストークも厭わなかったりする事業者は明らかにブラックといえる。
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