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現金給付一律“断念”の裏で……日銀「最大12兆円株購入」がもたらす2つの大問題:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/3 ページ)
日銀はETF(上場投資信託)の年間買い入れ額を12兆円と、従来の6兆円から2倍規模にまで拡大することを決定した。日銀による巨額のETF買い付けは、さまざまな点で歪みを生じさせ得る。国民の経済格差拡大を助長、そして企業統治にも歪みを生じさせる。
ETF買い入れは「売れないユーチューバーのやり方」と同じ?
「景気は気から」という言葉は昔から使われてきた言葉ではあるが、これはインターネットが一般化する前の時代に生まれた言葉であることを忘れてはいけない。さまざまなデータで景気を測ることが可能になった現代においては、目標は「気」の象徴である株価ではなく、やはりファンダメンタルズに置かれるべきだろう。
ETFを買い入れるという金融政策は、一部の売れないユーチューバーのやり方と似ているかもしれない。人気が出ないのであれば、面白い動画を作る方法を勉強するためにお金を使うべきだが、その分をチャンネル登録者の水増しのために支払っているようなものだ。これではいくらチャンネル登録者数が増加しても、「つまらないのに、無駄に登録者がいるいびつなチャンネル」だとすぐに看破されるだろう。
ここまで考えると「現金一律給付」が断念される裏で、最大で12兆円がETFの買い入れに用いられることは筆者としてはやはり疑問といわざるを得ない。
筆者プロフィール:古田拓也 オコスモ代表/1級FP技能士
中央大学法学部卒業後、Fintechベンチャーに入社し、グループ証券会社の設立を支援した。現在は法人向け事業コンサルティングを行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。
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