新型コロナの影響で、派遣添乗員はどうなっているのか:ヘトヘト日記(1/3 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が影響を受けている。人の移動が激減している中で、旅行業界はどうなっているのだろうか。派遣添乗員の生活をのぞいてみると……。
梅村達(うめむら・たつ):
1953年東京生まれ。大学卒業後、映画の制作現場を皮切りに、塾講師、ライター業などを経て、50歳のとき、派遣添乗員に。以来、いくつかの派遣会社を移りながら、現在も日々、国内外の旅行に付き添う現役添乗員である。新刊『派遣添乗員ヘトヘト日記』をヒットさせて、「月1~2回、趣味みたいに添乗員の仕事をしていきたい」というのがささやかな夢。
2020年2月5日、所属している旅行会社の担当者から電話があった。「3月6〜7日、7〜8日に予定されている長野発・伊勢神宮行きの1泊2日ツアー、2件ともキャンセルでお願いします」と伝えられた。
その担当者によると、参加予定者のキャンセルが相次ぎ、ツアー自体が成り立たなくなったという。その後、同社はゴールデンウイークまでのツアーの募集をすべて停止した。
「一般的に感染症による人的被害の予想は自然災害を上回り、戦争に次ぐとの見方がある」(読売新聞、2020年3月14日朝刊)という記事を目にした。まさに新型コロナウイルスの感染症が引き起こした異変は、15年超にわたるわが派遣添乗員人生において、これまでに経験したことのない、ケタ違いの脅威となりつつある。
私はおもに旅行会社が主催するツアーの添乗員として、生計を立てている。私が添乗するのは、旅行会社が新聞広告やインターネットで参加者を募る、パッケージツアーと呼ばれる商品である。
こうしたツアーに同行する添乗員のほとんどが派遣会社に所属する契約社員、もっとはっきり言ってしまえば、日雇い労働者なのである。例年だと、桜の開花時期となる3月上旬から下旬にかけては、この種の日帰りツアーの書き入れ時となり、ツアーは連日盛況となる。そうなると当然、派遣添乗員の出番も増える。
ちなみに昨年のこの時期(3月)、私は、泊まり、日帰り合わせて計15日分の添乗勤務があった。日帰りツアー添乗の場合、日当1万円程度が報酬となり、旅行会社によってまちまちではあるが、ここに「前泊手当」「後泊手当」「車内販売手当て」などの各種業務給が加算される。
春と秋の繁忙期に対して、真夏や真冬は閑散期となり、添乗業務の数もぐっと減る。仕事ごとの契約になるため、仕事があれば給料が入るが、当たり前のことながら、仕事がなくなれば収入も途絶えてしまう。年間を通すと、私の添乗員としての稼ぎは月平均で10万円程度であろう。だから、本当なら、この桜の時期の書き入れ時、派遣添乗員たちは稼げるだけ稼いでおきたいわけだ。
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