Zoomで“遠くから”葬儀に参列 名古屋の葬儀社がオンラインのサービス開始:3密を気にせずお別れを
新型コロナウイルス感染拡大で悩みの種となっているお葬式。西田葬儀社は、Web会議ツール「Zoom」を使ってオンラインで葬儀に参列できる新サービスを始めた。日本に昔からある「遥拝」の考え方を参考に、遠隔でも最後のお別れができるようにする取り組みだ。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、密閉・密集・密接の“3密”を避ける行動が求められている。そんな中、悩みの種となっているのがお葬式だ。自粛できるものではないが、感染拡大のリスクも考慮しなくてはならない。
厳しい状況の中、多くの人に安全な環境でお葬式に参列してもらおうと、名古屋の葬儀社が新しいサービスを始めた。西田葬儀社(名古屋市昭和区)は4月7日、Web会議用ツール「Zoom」を活用した新サービス「ネット遥拝(ようはい)遠隔参列システム」を開始したと発表した。
このサービスでは、式場の後方から「iPad」で葬儀の様子を撮影し、Zoomを使って生配信する。利用者は、時間になったら訃報に添付されているURLにアクセスし、リアルタイムで通夜葬儀、お別れの時間の生配信を見ることができる。
「多くの人が小さな空間に集うお葬式は、一つ間違えばクラスター感染となりかねません。またコロナウイルスの影響で、参列したくてもできない方々も多くいます。それらをまとめて解決する方法こそ、この“ネット遥拝”です」(西田葬儀社)
「遥拝」とは、遠くにいる神仏やご先祖様の方向を向いて拝する行為。「その場に行くことが叶わなかった人による強い信仰心や想いを伴った行為」(同社)で、日本で昔から行われていたという。
今回のサービスは、昔ながらの遥拝の考え方と現代のインターネット技術を掛け合わせることで生まれた。Zoomを使ったのは、利用の手軽さと1000人まで同時参加ができることが理由。ネット遥拝を活用すれば、感染の危険を避けるだけでなく、遠方で参列できない人や家族葬だからと遠慮していた人も参列できる利点もある。また、式場内のスクリーンにZoomの画面を映すことで、式場からネット遥拝している人の姿を見ることもできるという。
便利な技術を活用しながらも、故人をしのぶ昔ながらの考え方を大事にしている。感染症への対策にはさまざまな不便や課題が伴うが、亡くなった人を思う気持ちを尊重するために、便利なサービスを活用するのも一つの方法だろう。
関連記事
- 火葬してから告別式 イオンの「夕刻一日葬」は今の暮らしに合う?
イオンライフは、火葬後の夕刻に告別式を行う「夕刻一日葬」のサービスを開始。日中に時間が取れない人も参列しやすくなる。葬儀のニーズはどう変化しているのか。同社に聞いた。 - 葬儀×ITの「葬テック」サービス登場 スマホで訃報配信、お花も買える
アスカネットが葬儀×ITの「葬テック」事業を始めると発表。スマホでの訃報配信や、供物・供花の購入に対応した新サービス「tsunagoo(つなぐ)」をスタートした。葬儀会社に導入し、顧客企業がエンドユーザーに提供する「BtoBtoC」サービスとして展開する。 - 新型コロナの余波、葬儀にも――9割の業者「参列者減った」「今後減る」
新型コロナの影響が葬儀業界にも。9割の業者が「参列者減った」「今後減る」と回答した。感染症対策求める参列者も。 - ショッピングセンターの営業はどうなる? イオンは57店舗の専門店を臨時休業
緊急事態宣言が7都府県に出されたことを受けて、大型店舗を運営する企業では対応に追われている。ショッピングセンターでは、大手のイオンが計57施設の専門店を4月8日から臨時休業することを決めた。 - ドトールが連休明けまで臨時休業、直営246店舗 サンマルクカフェも224店舗を休業に
ドトールコーヒーは、緊急事態宣言の対象となった7都府県の計246店舗を4月8日から臨時休業。大型連休を含む5月6日まで。カフェチェーンでも店舗休業や営業時間短縮の動きが相次いでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.