「高級食パン」に「萌え断」 空前の食パンブームが起きたビジネス的“必然”に迫る:食の流行をたどる(3/4 ページ)
空前の食パンブームが発生している。筆者は“手の届く範囲での高級化”がポイントだという。どういうことか?
アレンジがしやすい
食パンのアレンジは、昔から多数存在する。食パンを1斤使用したハニートーストは、2000年代を中心に、飲食店やカラオケボックスで人気のスイーツとなった。その他にもフレンチトーストやサンドイッチに使用するのは昔からの定番である。しかし、昨今のSNSの普及により、この定番アレンジメニューも進化を続けている。分厚い牛カツを挟んだビーフカツサンドや、具材が3〜5センチはありそうな分厚いフルーツサンド。そして、卵サンドやおかずサンドといったように、“断面”が魅力的なサンドイッチも続々と登場。その総称として「萌え断」というキーワードがSNS上で飛び交ったほどだ。
その他にもスイーツやアボカドなど、“映えやすい”具材のオープンサンドも人気である。
カツサンド専門店や卵サンド専門店など、アレンジメニューが専門店化してブレークするといったように、食パンからの進化系専門店も増えているのだ。また、沖縄にある居酒屋「むとう」では、メニューに「塩パン」が存在する。こちらはシチューなどにつけて食べるものだが、程よく塩分の効いた分厚く切られた食パンを、ピザ窯でこんがりと焼いた絶品メニューなのである。パンがメインディッシュで、メインのはずのシチューは脇役となるほどだ。こちらの塩パンで作る卵サンドも人気で、卵サンド専門店を作ったほどだ。
このような現象を見ると、食パンは、お米のような主食としてのポジションにとどまらず、スイーツでもあり、メインディッシュでもあり、お土産でもある。さまざまなジャンルに侵入し、存在感を増しているのが分かる。
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