「高級食パン」に「萌え断」 空前の食パンブームが起きたビジネス的“必然”に迫る:食の流行をたどる(2/4 ページ)
空前の食パンブームが発生している。筆者は“手の届く範囲での高級化”がポイントだという。どういうことか?
専門店が続々と登場
そして、専門店の登場を語らずして、高級食パンブームは語れない。専門店は、ターゲットやアピールポイントが明確になるため、昨今の「食」のシーンにおいては勝ち筋の1つである。
高級食パンの先駆けといっても過言ではない高級「生」食パン専門店「乃が美」。2013年に大阪で1号店をオープンさせたが、現在は全国に160店舗以上を展開している。高級食パンを、一過性のはやりものから、日本の“パン”の世界における定番カテゴリーとした。「食パン専門店」というだけでも十分キャッチ―で、話題性がある。さらに、「生」食パンと題し、トーストするのではなく、購入したらすぐにちぎって食べるのがベストとした。そして、「そのまま食べることが一番おいしい」食パンとして大ブレークした。
その後、続々と“高級食パン店”が増え、今や、主要都市には必ず存在する業態となった。このような高級食パンの専門店は、菓子店のような内装と外装になっている。また、食パンを入れるバッグもパン屋さんにありがちなビニール袋ではなく、おしゃれなデザインの紙袋が主流だ。まるで、洋菓子や和菓子のように、自分だけではなく、人にお土産として渡せることも、消費を拡大させたポイントだ。
付加価値がつけやすい
食パンブームの2つ目の要因は、付加価値がつけられることである。「食パン」というシンプルかつ普遍的な食材をアレンジして食べるお店が増えているのだ。東京・銀座にある「セントル ザ ベーカリー」。同店はバケットで有名な渋谷「ヴィロン」のオーナーが経営しているが、国産の小麦を使った「角食パン」、輸入小麦を使った「プルマン」、そして山型の「イギリスパン」と3つの食パンが楽しめる。また、イートインコーナーには、この3枚が楽しめるセットメニューも存在する。“食べ比べ”――食パンに限らず、その食材ファンにとってはたまらないキーワードではないだろうか?
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