連載
新型コロナ恐慌がもたらすマーケット変化:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/4 ページ)
新型コロナウィルスの登場によって、今まさに進行形で世界経済はパニックに陥っている。自動車産業も全体としては大変厳しい局面を迎えるだろう。5月発表の各社の決算は多くが赤字に沈むだろう。今手元にある材料で判断する限り、比較的復興が早いと思われるのは、米国と日本になるのではないか?
大変革
そしてパンデミックは、そういうパニック下での人間の浅ましさをまざままざと見せつけてしまった。筆者は、EUはもうこのまま一つの未来を目指すことができないのではないかと思っている。
もう一つは中国だ。今回中国は世界の信頼を失った。武漢で発生したこの恐るべき伝染病を隠蔽しようとしたことを、すでに米国を始め多くの国が糾弾し始めている。そしてパニックに陥る欧州の国々に、でたらめな物資を売りつけるという行為は、その怒りにさらに油を注いでいる。このパンデミックが収まった時、中国はそうした数々の行いの責任を問われることになるだろう。
米国は被害こそ甚大だが、国のシステムを組み換えなければならないようなことにはおそらくならない。トランプ大統領の政権がひっくり返ったとしても、大統領の首が変わるだけだ。
そういう意味では日本も同じ。国力の大幅な低下は避けられないだろうが、それは世界の主要国のいずこも同じだ。あくまでも可能性の話だが、中国がアジアを牽引(けんいん)する役を降りざるをえないことになれば、相対的に日本の地位は上がる可能性が高い。もっともそうなったとしても、そこまでに犠牲になる多くの命のことを考えればとても喜べる話でもない。
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