ポスト・コロナの「新たな常識4つ」(3/4 ページ)
人口の95%が「ロックダウン」状態にあるアメリカだが、早くもあれこれと「コロナ後の世界」に関する予測が飛び交っている。そのうちのひとり、トロント大学リチャード・フロリダ氏の見解に大いに興味をひかれたので要約してみた。
(2)ソーシャル・ディスタンシング
どれだけ早いタイミングで予防ワクチンが開発されるかにもよるが、少なくとも今後12か月から18カ月の間は、社会的距離の確保(ソーシャル・ディスタンシング)が「新たな常識」になると考えられる。オフィスや工場、店舗など、人が集まる場所では、人々が距離をとって働き、買い物をし、あるいはくつろぐことができるよう、空間デザインの刷新が必要になる。もちろん、大きなことでなくすぐできる小さなこともたくさんある。たとえば、お店のレジの周りの床にテープを貼り、並んで順番を待つ人たちの立ち位置を示すなどといった工夫はもう既に行われている。
大がかりな刷新が必要となる空間もある。たとえば空港だ。セキュリティ・チェックや出入国審査、税関や手荷物受取所、ゲートなど、人の流れを円滑にし、混雑を避けるための工夫が必要になる。スポーツ競技場や映画館、劇場、ショッピングモールなども、人が安心して利用できるようにするには相当の変更が要求されるだろう。レストラン、フィットネス・センター、ヘアサロンやネイルサロンも同様である。
それと同時に、「パーソナル・サービス(個別サービス)」がより主流化する。これは当然の流れだ。コロナ・クライシス以前にも、レストラン業界における「デリバリー」へのシフトはすでに始まっていたが、これがさらに加速化する。いちはやくコロナ・クライシスから脱却した中国ではもう起きている現象だ。ヘアサロン、ネイルサロン、エステ、フィットネス・サービスなどは、「出張サービス」の需要が高まることを予期すべきだろう。また、レストランやバーは、先に述べたデリバリーのほかに、家庭での小規模なパーティに対応する「ケータリング」のニーズが増えることを想定すべきだ。ミュージシャンやその他のパフォーマーにとっても、ホーム・コンサートやホーム・パーティの需要に応えることが新たな収入源になる。
(3)検温の習慣化
空港、オフィス、映画館、劇場、スポーツ競技場、学校、学校の学生寮など、あらゆる公共の場で検温が常識となる。これはもうアジアの一部では実装されている。たとえばシンガポールでは、オフィスビルに入館する際の検温が当たり前になっているという。
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