ポスト・コロナの「新たな常識4つ」(2/4 ページ)
人口の95%が「ロックダウン」状態にあるアメリカだが、早くもあれこれと「コロナ後の世界」に関する予測が飛び交っている。そのうちのひとり、トロント大学リチャード・フロリダ氏の見解に大いに興味をひかれたので要約してみた。
(1)「防護グッズ」の開発
医師、緊急隊員、医療助手、看護師、スーパーの店員さんや倉庫・配達作業員など「フロントライン・ワーカー」の安全を守るため、マスクや手袋をはじめとした「防護用品」が必要になる。
ただし、守られるべきなのは彼らだけではない。アメリカの就業人口の三人に一人は、人に接近することを余儀なくされる仕事や、不特定多数の人と接する仕事に就いている。店舗のレジ係や販売員、航空会社の客室乗務員やグランド・スタッフ、ライドシェア・ドライバーやタクシーの運転手、エステティシャンや美容師、レストランの厨房スタッフや給仕スタッフ、庭師、工事現場作業員、配管工や大工さんなど……枚挙にいとまがない。現時点ではマスクが不足しているため、多くの人がマスク着用をあきらめるか、手作りのものを着用するかしているが、本来ならば医学的に効果のあるマスクやその他の防護用品が必要だ。
コロナ後の世界では、空港や交通機関の中、学校やその他の多くの人が集う場所では、防護用品の配布が「常識」になると考えられる。必ずしも無料ではなく、有料で提供するという選択肢もあると思うが、とにかく防護用品の着用・使用が「必然視」されるようになるということだ。SARSの流行の際には、マスクや手袋、その他の防護用品の使用と手洗いの習慣づけが結果的には感染を9割がた抑制することにつながったと報告されている。
しかし、ひとつの問題は、今日、市場に出回っているマスクその他の防護用品はデザイン性に乏しくあまり見栄の良いものでないということだ。それが生活者が着用を躊躇する理由になっている。この非常時に多くのアパレル・ブランドが自社の製造ラインを活用してマスクの製造に乗り出しているが、これらのブランドがデザイナーを起用し、ファッショナブルで親しみやすい防護用品を開発したらどうだろう。また、アマゾン、UPS、フェデックス、ウォルマート、インスタカート、ウーバーなどといった配達・輸送業に従事する会社は、自社の従業員が着用するユニフォームにデザイナーを投入して、見る人の目にも心地よく、着る人の自尊心を満足させるようなワークウェアを考案すべきだ。
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