2015年7月27日以前の記事
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「人材サービス」に潜む危うさと罪 今後も社会に必要な存在であるために求められるものとは連載・「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?(2/5 ページ)

2019年、就活サイトの内定辞退率問題で注目を集めた「人材サービス」だが、今その公益性が問われている。しかしながら、ひとくちに「人材サービス」といっても、その実態はなかなか分かりづらいのが現状だ。今回は、連載の最終回。「人材サービスの公益的発展を考える会」を主催し、「人材サービス」に詳しい川上敬太郎氏が「人材サービス」が今後も生き残るためのカギを解説する。

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「人材サービス」は“危うさ”を内包した存在

 「人材サービス」を提供する者が、雇用責任などを伴う形ではなく、見えざる“支配力”によって一方的に働き手の意思をコントロールできてしまうと、不当なマージンを搾取して暴利をむさぼるような事態が生じやすくなります。そう考えると、「人材サービス」は構造的な“危うさ”を常に内包している存在だと言うこともできます。

 これまで考察してきた「転職」「新卒」「派遣」それぞれのテーマにおいて、「人材サービス」の“機能”は一定の社会的有用性を保持していることを確認してきました。

 「転職」においては、求人媒体の利用はすでに社会インフラの一部となっています。また、人材紹介は特にハイスキル・ハイキャリア層の採用や就職においてメリットのあるサービスです。

 「新卒」においては、既に定番となっている就職ポータルサイトや合同就職説明会のようなイベントはもちろん、ダイレクトリクルーティングや新卒向け人材紹介サービスなどバリエーションが豊富になってきています。

 「派遣」は全雇用者の3%に満たない特殊な働き方である一方で、必要なスキルを有した人材が必要なときに必要な期間だけ働く、というピンポイントのニーズに応えることができます。

 これらの利点を有する「人材サービス」も、見えざる“支配力”が影響してしまうと、一気に不正の温床となり得ます。つまり、これまでの考察の中で何度も指摘してきたように、「人材サービス」を提供する側がエゴや悪意にもとづいてサービスを提供すれば、関係者全てを不幸にしてしまいます。

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