「人材サービス」に潜む危うさと罪 今後も社会に必要な存在であるために求められるものとは:連載・「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?(5/5 ページ)
2019年、就活サイトの内定辞退率問題で注目を集めた「人材サービス」だが、今その公益性が問われている。しかしながら、ひとくちに「人材サービス」といっても、その実態はなかなか分かりづらいのが現状だ。今回は、連載の最終回。「人材サービスの公益的発展を考える会」を主催し、「人材サービス」に詳しい川上敬太郎氏が「人材サービス」が今後も生き残るためのカギを解説する。
「人材サービス」に必要な“資格”とは
「人材サービス」の起源にある種のいかがわしさが付きまとったのは、見えない“支配力”による不健全さを自ら正すことができなかった過ちの結果でもあると考えます。そこに法制度による“縛り”を設けることで健全性を確保できるようになり、「人材サービス」は社会的認知を少しずつ得られるようになってきました。
それでも今なお、いびつな形で法制度の縛りを受けている面があると感じてしまうのは、「身から出たサビ」といえる面が多分にあります。「人材サービス」が有する機能を社会のためにより有効な形で役立てるために、“適切”な規制は必要だと思います。そして適切な規制を実現させるためには、「人材サービス」を提供したり利用したりする際に自浄作用を働かせ、自らの力で健全に発展させていけるようになることが不可欠です。
それは、「人材サービス」という、取り扱いの難しいサービスを利用する者に必要な“資格”と言い換えても良いかもしれません。「人材サービス」が有する機能を社会に役立てるとは、すなわち「人材サービス」を用いて公益に資するということです。
ただ利益だけを求め、「人材サービス」を利益獲得のための道具としか見なさないようだと、“公益性”からはどんどん離れていくはずです。逆に、「人材サービス」を通して求人企業と求職者双方のニーズを満たし、社会により良い選択肢を提供することを目的とし、利益をそのための道具と見なすのであれば、それは公益に資することにつながるはずです。
「人材サービス」が滅ぶ日が来るかどうかは、「人材サービス」に携わる者が、“公益性”ありきに徹することができるか否かに委ねられているのだと考えます。
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