コロナ不況を乗り切るために「コンビニバイトの時給アップ」が必要なワケ:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大によって、「コロナ不況がやってくるのではないか」といった声が出てきた。そうした状況のなかで、筆者の窪田氏は「コンビニバイトの時給をあげるべき」と主張する。どういう意味かというと……。
中小企業の賃下げ圧力にブレーキ
まず、(1)の「コロナ不況で深刻化する賃下げ圧力を弱めるため」から説明しよう。コロナ不況になれば、中小企業を中心にすさまじい賃下げの圧力が発生するのは目に見えている。既にその兆候は出ていて、4月2日に、大阪シティ信用金庫が発表した、大阪府内の中小企業の賃上げ動向調査によれば、20年に正社員の賃金を引き上げると回答した企業は全体の20%強。これは19年調査から14ポイントあまりの低下で、リーマンショック時に迫る勢いだという。
このように中小企業が賃下げをしていくと当然、日本経済はさらにひどいことになる。日本企業の99.7%は中小企業であって、日本の従業員のおよそ7割、3220万人は中小企業で働いている。3220万人の賃金が上がらないので、消費も冷え込む。消費が冷え込むので、労働者が得る賃金もさらに下がっていく、という負のスパイラルに陥ってしまうのだ。
ここから脱却するには、「賃上げ」しかない。が、そこで大企業が頑張っても意味がない。大企業がどんなに賃上げをしても、下請け企業への報酬が引き上げられるわけでもない。しかも、もし報酬が上がっても、先ほどのばらまき施策と同じで中小企業経営者の懐が潤うだけで、3220万人の中小企業従業員の賃上げにはつながらないのだ。
では、どうするか。トップダウンがダメなのでボトムアップしかない。つまり、最低賃金で働かされている人々の時給を上げていくことで、賃下げ圧力に少しでも抵抗して、全体の底上げを目指していくしかないのだ。
ご存じのように、コンビニの時給はその地域の最低賃金スレスレで、ここを下限にしてスーパーのバイトや外食バイトなど他業種の時給相場も決まっていく。ということは裏を返せば、ここの時給を上げていくことは、中小企業の賃下げ圧力にブレーキをかけることになるのだ。
しかも、「コンビニバイトの時給アップ」のメリットはそれだけではない。(2)のコロナ不況の到来で急増するであろう失業者の対策にも大いに役立つのだ。
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