2015年7月27日以前の記事
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コロナ不況を乗り切るために「コンビニバイトの時給アップ」が必要なワケスピン経済の歩き方(4/6 ページ)

新型コロナウイルスの感染拡大によって、「コロナ不況がやってくるのではないか」といった声が出てきた。そうした状況のなかで、筆者の窪田氏は「コンビニバイトの時給をあげるべき」と主張する。どういう意味かというと……。

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「金銭的な見返り」を

 コンビニバイトの時給を上げなくてはいけないのは、このような失業者対策に加えて、不況による社会の混乱を最低限に抑える意味もある。それが(3)の「社会インフラの維持のため」だ。

 これからしばらく続く外出自粛のなかでコンビニは、スーパー、ドラッグストアなどと並んで、国民の生活を支える重要なインフラとなっている。そのため、コンビニはレジ前にビニール制の“コロナシールド”を装着して、今日も通常営業を続けているのだ。

 一方で、これらのインフラを支える人々の負担が問題になっている。不特定多数の人々が密集する場所で長時間いることで感染リスクがグーンと高まる。しかも、コンビニバイトの場合、レジ接客だけではなく、トイレや喫煙所というウイルスが付着していてもおかしくないところの掃除を頻繁にしなくてはいけない。さらに、やれマスクがない、やれ素手で釣り銭を渡すなとモンスターカスタマーから怒鳴り散らされてメンタルがズタズタにされているのだ。


カスタマークレイマーに悩まされている小売の従業員たち(出典:ゲッティイメージズ)

 では、急速に労働環境が悪化するなか、「つらいんで今日でやめます」とバッくれないで頑張ってくれているコンビニバイトの皆さんが、それに見合うだけの”見返り”を得ているのかというとそんなことはない。この緊急事態下で負担が増えてもコンビニバイトの時給はビタッと低く固定されている。

 日本では何かと「金がすべてではない」「仕事はやりがいだ」という話にもっていきたがる人が多いが、金で解決できる問題を放ったらかしにしておいて、そういう精神論を振りかざすことを「労働の搾取」と呼ぶ。

 つまり、この厳しい局面の中でコンビニのサービス維持のために踏みとどまっているバイト労働者に「金銭的な見返り」をしてあげるのは、「コンビニは社会インフラ」を掲げてビジネスをしてきた各社が当然やらなくてはいけない義務なのである。

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